マンション経営コラム|第11回 不動産業者が優良物件を買わないのは「仲介の方が効率的」だから
不動産会社が賃貸業をしない理由

不動産会社が物件を売る方法は2種類あります。
他人が所有する物件を販売し仲介手数料を得る方法と、不動産会社そのものが売主となり物件を売る場合です。
不動産会社は、前者の第三者の物件を仲介販売する経営スタイルがほとんどです。
そして、会社自らが物件を所有し賃貸業を営むことは全くないわけではありませんが、あまりありません。
この理由は、物件販売なら短期間で仲介手数料としてまとまった額の現金を短期間で手に入れられることができるのに対して、賃貸業だと物件価格から得られる家賃収入では、不動産会社を経営していくための十分な現金が得られないためです。
不動産会社は、短期間で多くの現金を得られる「物件売買」の仲介手数料をもらうスタイルで会社経営をしています。
不動産会社の仲介手数料とは
不動産会社の「仲介手数料」は、物件売買が成立した時と賃貸契約成立時に受け取る方法があります。
成功報酬とも言われますが、物件売買では、売買契約締結時に買主が現金で支払います。賃貸契約成立時においては、貸主、借主で折半した仲介手数料が現金で支払われることになっていますが、実際は借主側が全額支払う契約になっていることが多くなっています。
物件売買における仲介手数料の金額は、取引額に対して法令により上限が定められています。
物件代金に含まれている土地代は非課税なので、土地代を差し引いて計算します。
・ 取引額200万円以下の場合は、その5%以内
・ 取引額200万円を超え400万円以下は、4%以内
・ 取引額400万円を超える金額は、3%以内
例えば物件価格の建物代金が1,000万円の物件だと、次のようになります。
① 200万円までに対し: 200万円×5%=10万円
② 200万円超~400万円まで: 200万円×4%=8万円
③ 400万円超~1000万円まで: 600万円×3%=18万円
①+②+③=36万円
36万円に別途消費税が発生します。
賃貸契約では、消費税を含まない家賃の1カ月分の1.08倍相当の金額までを貸主、借主が折半して支払うことになっていますが、実際は借主が仲介手数料全額を支払う契約をしていることがほとんどです。
賃貸と売買それぞれの取引が成立した時に発生する仲介手数料の支払いは、賃貸の場合は契約時、物件売買の場合は、契約が成立した際に半額、媒介などの責任を完了した時点で残額というように分けて支払うことが一般的になっています。
不動産会社では仲介業務に伴う費用は請求できない

不動産の取引を成立させるために、不動産会社はさまざまな営業活動を行っています。
営業活動には、広告を制作・印刷したり、問い合わせがあった顧客を現場へ案内するといった対応、販売物件の設備や登記内容の確認などがあります。物件販売におけるさまざまな経費は、法律で売主に請求できないことになっています。
ただし、まれに依頼者の希望で発生した通常の販売活動では発生しないような営業費用については、その実費とその消費税にについて請求することができます。 例えば、遠隔地にいる物件購入希望者と交渉するための出張旅費などがこれにあたります。
不動産仲介手数料は、物件価格により数百万円にもなることがあります。この手数料は現金で支払うことがほとんどで、この現金が定められた日に支払うことができない場合は、契約がキャンセルになってしまうことがあります。
その場合、キャンセル待ちの別の投資家へ物件が販売されてしまうこともよくあります。不動産投資家は、購入したい物件を確実に自分のものにするためにも、常に仲介手数料を含めた現金を手元に用意した状態で物件さがしを進めるようにして下さい。
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