マンション経営コラム|第10回 会社員の不動産投資に新築ワンルームマンションは不向き?
キャッシュフローが出にくい新築ワンルームマンション

晩婚化や女性の社会進出が進み単身世帯は増加しているため、新築ワンルームマンションの需要はこれからも高いことが予想されています。
しかし、一見投資向きに思える新築ワンルームマンション経営は、会社員の不動産投資家には不向きな物件対象です。
その理由は、都心といった土地の値段が高いところにあるため物件価格が高いこと、管理費や税金などのコストを計算すると、家賃収入を得られたとしても利回りがさほど高くならないことが挙げられます。
最悪の場合、収支が赤字になってしまうことも多く、所得税の軽減を受けたとしてもローンを払い終わった数十年後には、マンションの売却価格が下がりすぎて売れない事態に陥ることもあります。
新築ワンルームマンション経営は、キャッシュフローが最も出にくい物件とも言えます。
新築ワンルームマンション経営のメリットとデメリット
新築ワンルームマンションは、都心や大都市といった交通アクセスがよい場所に多く建設されています。
金融機関でも、ワンルームマンション向けのフルローンを提供しているところもあります。駅近できれいな家は、最初の入居者が見つかりやすいメリットがあります。
新築ワンルームマンション投資では、開始直後は特に問題は感じなかったとしても、その後経営におけるデメリットが次々と出てきます。
まず、どんな物件でも登記されれば中古になりますが、新築ワンルームマンションの場合、例えば築2~3年でも、当初購入価格が2,500万円だった物件は、2,000万円を下回る価格で取引されています。つまり、中古になれば分譲時の70%ほどの値段でしか取引されません。
築5年も経ち、入居者が5年で2回ほど入れ替われば、家賃の値下げをしなければ次の入居者がみつからない事態が起こりやすくなります。
近所に新しい新築ワンルームマンションができれば、事態はさらに悪化します。
元々面積のせまいワンルームマンションでは、家賃の金額も小さくなりがちですが、家賃を下げても管理費や修繕積立金の額は変わりませんし、入退去に伴う室内リフォーム費用なども変わりません。
これらの経費は、今後増額する可能性もあり、当初予定した利回りは年月が経つにつれて下がってしまうリスクが高くなります。
この事態に、さらに部屋が空室というリスクが加われば、たちまちワンルームマンション経営は行きづまります。
このようなケースに陥り、赤字を出しても会社員として働いていれば給与所得からマンション経営の赤字を差し引けば、所得税の軽減ができます。
ですが、実際にキャッシュフローが出ていない状態で、所得税を軽減されたとしても不動産経営をしたメリットはほとんどないのと同じです。
新築ワンルームマンションの利回りが低い別の理由

新築ワンルームマンションの利回りがアパートに比べると低い理由は、物件価格の約3~4割相当が、建築会社や販売会社の利益として組み入れられているためです。
価格が割高になれば利回りも下がります。
新築ワンルームマンションでは、利回りの平均値は4%です。
今は、新築でも年月が経ち中古ワンルームマンションとなって利回りが4%を切れば、大半の投資家はその物件を購入対象として見ることはありません。
このような新築ワンルームマンションは、さほど知識を持たない不動産投資の初心者向けに販売されているのが実情です。同じ都心立地であれば、割安な築浅の中古ワンルームマンションを選べば、価格も抑えられ、賃料も下がった状態で購入するため更なる賃料下落は抑えられます。立地を気にする方であれば、築浅の中古ワンルームマンションを選びましょう。
不動産投資の目的を見失わない物件選び
このように、新築ワンルームマンション経営ではキャッシュフローを出せずに失敗してしまうリスクが高くなります。
販売価格も利益分が上乗せされた物件が多いため、不動産投資の初心者ならできれば避けたい物件です。
不動産投資は、「キャッシュフローを長期間得る目的で行う」という、本来の目的を見失わずに投資物件を選ぶべきです。
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