マンション経営コラム|第17回 必読!投資物件ごとのリスクを徹底比較も
失敗しないことを第一とした不動産投資とは?

和不動産では、毎週水・土・日を中心に、年間150回ほど不動産投資セミナーを開催しており、1200人以上の方にご参加いただいております。
参加者の割合は、すでに不動産投資を始めている方が半分、これから不動産投資を始めようと思っている方が半分といった割合です。
その中で、所有している物件の運用の件でご相談をいただくことが多々あります。
これらの相談は、自分のレベルを超えてしまった不動産投資を行っているが故に、抱えてしまった問題であることがほとんどです。
今回は、マンション経営において気をつけたいリスクについてご紹介していきましょう。
① 中古一棟RC(鉄筋コンクリート造)物件のリスク
一棟物件を運用するメリットは収益が大きい所ですが、その分支出が大きい所がデメリットです。
しかも、一棟まるまる自分で管理しなければなりません。
例えば、エレベーターを新規で設置するとなると1000万円程度のコストがかかります。
当然、故障にも大きな金額が発生しますので、エレベーターが故障しないかどうかは、一棟物件のオーナーにとって一番の心配事になります。
また、賃貸物件の出入りが多い時期は一般的に1月~3月なのですが、この時期に退去が重なります。入居者が退去すると必ず原状回復が必要になるのですが、それと並行して入居者募集の広告費が必要になることなどを計算されていない方が多いようです。
さらにローンを使っていれば、空室になった部屋の分だけローンを支払わなければいけません。
大きな物件は、うまくいっていればそれを補うリターンがもたらされますが、上手くいかなければ、その分大きなリスクを背負うことになります。
中古一棟物件は、建物のメンテナンス費用が必要です。もし、その費用が毎年百万円単位で請求されることになれば、サラリーマンが手に負えないのは明らかです。
② アパート物件のリスク
一般の方が不動産投資といって思い浮かべるのは、アパート経営が多いのではないでしょうか。
しかし、2016年6月、民放のビジネスニュース番組でアパートの空室率急上昇がトップニュースで紹介されました。理由は相続対策でアパートの建築が増えたことにより、その地域内で物件が供給過剰になり、入居者の獲得競争が激化したことでした。
建てようと思えば誰でも建築できる立地では、資産価値が維持しにくいのが現状です。
アパートが乱立すると、空室を埋めるためには家賃を下げるしか方法はありません。
こうした家賃競争でオーナーが得られるメリットはあまりありません。
また、アパートはマンションに比べて建築費が安いために相対的に利回りが高めですが、一方で、人気のない1階を所有する必要があり、防音や耐久性に不安があるというアパート特有のリスクがあります。
今後のアパート経営は、入居者をいかに確保していくかにかかっています。そのための競争に勝つには家賃を下げることのできる資金力のある方になるので、それができない方は参入しない方が賢明と言えます。
③ 新築ワンルームマンション物件のリスク
新築のワンルームマンションと中古のワンルームマンションでは、価格のつけ方が異なります。新築のワンルームマンションは、原価を積み上げていく方式なので、収支をベースに価格が決められていない所に問題が隠れています。
新築は、土地がいくら、建築費がいくら、販売利益がいくらと価格を積み上げていくので、出来上がった物件のコストが膨らみがちです。そして、新築の状態で賃貸に出されたワンルームマンションは、新築プレミアムという家賃が高い状態で賃貸に出されているので、数年経つと家賃の下落が間違いなく起こります。
一般的にワンルームマンションは、年間1%ずつ賃料が下落していくと言われています。築20年ぐらいで家賃の下落が落ち着くため、家賃が2割下がった状態でも、収支が回るような運用が必要です。
新築の状態は一番物件がキレイなので、魅力的に感じられるかもしれませんが、入居者が一度入れ替われば中古物件になることを頭に入れていないと、あとで後悔することになりかねません。
④ 地方中古区分ワンルームマンション物件のリスク
地方のワンルームマンションのデメリットは運用コストが高いことです。不動産は、建物管理・賃貸管理などオーナーの手を煩わせないように専門の管理会社が管理を行っています。
しかし、管理というのは人の手による作業が多いのです。家賃が高くても安くても、物件が地方であっても都心であっても、管理するコストはほとんど人件費なので大きな差はありません。
仮に毎月の建物管理費が1万円だった場合、家賃が10万円の物件であれば家賃に対して10%の経費割合ですが、家賃が5万円だった場合には経費割合が20%まで上昇します。
つまり、地方のワンルームマンションは、表面利回りが高いけれど、家賃が安いことが特徴なので、管理運営コストがかさむ傾向があるのです。これは、地方のワンルームマンションに限らず、家賃が安い物件すべてに対して言えることです。
また、入居者が退去した時にかかる原状回復費用もばかになりません。入居期間が2年だったとして、その間得た収益がすべてなくなるぐらい費用がかかってしまうことも多々あります。こういった費用もオーナーの負担になるので、すべての経費を引いてから収益を計算して物件を購入しないと収益が残らないケースもあります。
⑤ 都心中古ワンルームマンション物件のリスク
私がお勧めしている都心の築浅中古ワンルームマンション経営は、リスクと言うほどではありませんがデメリットもあります。
それは、ローンを組める総額が少ないということです。
不動産投資で年間家賃収入1000万円を越えようと思っている方には不向きかもしれません。ですが、老後破産を回避するための年金対策として毎月10万~30万円程度の収入を得ようと思っている方にはリスクが少ないお勧めのやり方です。
一般的に不動産投資を行うに当たり、融資を受けて始める方がほとんどです。そして、サラリーマンが年金対策として行うマンション経営に対して融資する金融機関もあります。
このような金融機関は、サラリーマンが安定して家賃収入を得ることに対して融資を行うため、長期に安定した失敗の少ない不動産投資に融資したいと考えています。
都心の築浅中古ワンルームマンションなら、リスクも少ないため金融機関も1%台の低金利で融資してくれる場合もあります。
しかしながら、目的が年金対策ということで融資の総額が抑えられてしまうデメリットもあるのが現実です。これは、老後破産を回避するためにマンション経営を始める方には特に問題ありませんので、大きなリスクはないと言えるのではないでしょうか。
⑥ 売却できない不良債権化した物件のリスク
不動産投資のリスクのひとつに流動性が低いことがあります。これがもとで失敗するケースは、収支が赤字になった場合です。その原因は、空室時のローンの支払い、家賃の下落、運営コストの上昇、修繕コストの上昇といったことが挙げられます。
また、万が一売却しようと思った時にすぐに売却できる物件を所有していることがリスクを回避するために大事な要素です。
しかし、不動産投資において、自分が売りたい時に購入してくれる人がいないと、いざというときに売却できず「やめられない」ということがリスクになります。
不動産投資を始める場合は、同時に出口戦略もしっかりと考える必要があるのです。
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