第6回 ワンルームマンション投資の経営計画とシミュレーション
利回りアップを意識した経営が成功への秘訣

投資用ワンルームマンション経営をはじめるには物件探しから始まります。利回りをチェックすれば、投資に向いた物件かどうかがわかります。
マンション購入時にはローンを利用することが多いのですが、自己資金を多めに用意したり、繰り上げ返済を行うなどして少しでも利回りアップにつなげるようにします。
購入当初にかかる費用も収支計算に忘れず含めるようにしましょう。
マンション経営は、ローンを組んでいるならすぐに売却せずに長く運用して収益を得るようにします。
会社員の方は、本業に支障をきたさないよう管理の手間を省く代行サービスなども利用しながら経営を進めていきましょう。
投資用ワンルームマンションの経営指標「利回り」とは
投資用ワンルームマンション経営が良好かどうかを判断するためには、「利回り」をチェックします。
マンション経営における「利回り」とは、例えばマンションの価格が2000万円、毎月の家賃が8万円とすると次のような計算になります。
(8万円×12カ月=96万円)÷2000万円=0.048 (4.8%)
上記の金額は「表面利回り」といい、投資用マンションのパンフレットによく記載されています。
しかし実際には、96万円の収入からローン返済、管理費、修繕積立金、固定資産税などの税金、入居者が代わった時に行うリフォーム料金も発生します。
このような経費もあわせて家賃から差し引いた収入は、ネットオペレーションインカム(NOI)といい、この金額を基に計算した利回りを「実質利回り」と言います。実質利回りが5%以上になるような物件を選びましょう。あまり利回りを期待しすぎるとリスクが上がってしまいますので、リスクと利回りのバランスを取ることが重要です。
投資用ワンルームマンションの物件を探す時は、まず表面利回りと実質利回りの2つの数値ををチェックしますが、利回りが良くても物件が交通アクセスの悪い場所にあるとか、日当たりや騒音など生活環境が悪くて当初の想定より入居者が決まらないこともあります。
逆に利回りはさほど期待できなくても、人気エリアなら満室状態が続き安定した家賃収入が見込めて経営がしやすい物件もあります。賢いオーナー様は、こういった入居が安定した物件でレバレッジを効かせて高い運用利回りでマンション経営を行っています。
物件を購入した当初は人気エリアで入居希望者も多かったのに、数年後に近隣エリアの方が人気が出て、自分の物件の家賃を下げなければならなくなり、実質利回りが下がってしまうこともあります。
その逆に、数年後に開発計画があり、将来その地域が人気エリアになる見込みがあれば、それに先駆けて物件が安い間に購入しておくという方法もあります。
結局、マンション経営の良し悪しを決めるのは、安定した家賃と高い入居率です。投資用ワンルームマンションを購入する時は、物件を取り巻く条件や環境も十分に注意しながら購入するかどうかを検討して下さい。
投資用ワンルームマンションを購入する時にはローンを利用する

投資用ワンルームマンションに適した物件が見つかれば購入しますが、その際大半のオーナー様はローンを組みます。ローンがいくら組めるかはオーナー様の勤務先や年収などの背景で大きく変わってきますし、このローンの組み方で、マンション経営の運用状況が大きく変化しますので、ローンの組み方もしっかり勉強して下さい。
銀行の定期預金の利率とマンション経営の利回りが同じ数字だった場合、自己資金に加えてローンで借りたお金を元にマンション経営を行えば、自己資金だけを預けて銀行で受け取れる利息分よりも多い金額の収入を得ることができます。
ローンを組んでマンション経営を行うなら、長期的にレバレッジ効果を出すことが成功へのカギとなります。レバレッジ効果とは、ローンを利用することで本来の利回り以上の収益を出すことをいいます。収益性は、ローンの組み方で大きく変わります。
ローンの組み方や支払いのポイントは、次の通りです。
① 自己資金を2割ほど用意する
② 返済額を減らす
③ 繰り上げ返済をする
試算ではレバレッジ効果があっても、経済情勢の変化により金利が上昇することもあります。そうなれば返済総額が増えるため、マンション経営の利回りが下がることになります。
新築物件は年数が経てば新しい入居者が決まりにくくなりますし、そのために家賃を下げざるを得ない状況なども出てきます。
色々なリスクを考えれば、個人投資家のオーナー様なら、定年までにローンを完済するのが目安となります。若い方は、少ない頭金でも期間が長いので大丈夫ですが、もし50代以降でマンション経営を始めるなら、定年後にもローンが残らないよう自己資金を多めに用意すべきです。
ワンルームマンション経営にかかる費用
利回りのよい物件が見つかり、いよいよ購入することになれば、ローン返済以外にも色々な費用が発生します。売主物件か仲介物件かでもかかる費用は変わります。
特に購入時にかかる諸費用は現金で支払うことが多く、そのためにも自己資金はある程度は用意しておかなければなりません。
さらに仲介物件の場合、仲介手数料も加わりますので、多くの自己資金が必要になります。
ワンルームマンション購入時にかかる費用は次の通りです。
(注:物件価格を除く、登記簿上の床面積50㎡未満)
・物件価格によりますが、400万円以上の場合は、3.3%が手数料上限です
・「売買契約書」に記載された金額によります(印紙税軽減措置後の金額)
(例)1000万円超~5000万円以下: 1万円
・物件購入代金を金融機関から借り入れする場合「金銭消費賃貸契約書」も必要です
(例)1000万円超~5000万円以下:2万円
5000万円超~1億円以下:6万円
マンションの登記費用は次の3種類
(登記簿上の床面積50㎡未満、2023年3月31日までの登記)
・所有権保存登記:固定資産税評価額×0.4%
・売買による所有権移転:
建物(固定資産税評価額×2%)+土地(固定資産税評価額×2.0%)
※一定の要件を満たせば軽減税率の適用あり
・マンション購入代金を金融機関から借り入れする場合の担保として
抵当権を設定する場合:債権額×0.4%
土地や建物などの不動産を取得した時に、該当する不動産がある都道府県に1度だけ納める税金。 土地と建物それぞれに対して、固定資産課税台帳に登録されている価格に税率をかけて求められます。 2022年12月現在の税率は、土地に対して3%、住宅家屋には4%となっています。
銀行ローンは3万~5万円、ノンバンクの場合はそれ以上
ローン保証会社に支払う保証料 ※金利に含まれている場合もあります。
(例: 銀行ローン3000万円、支払い期間35年で約60万円)
通常ローン金利に含まれているため、支払いの必要はない
(例: 保険金額500万円、保険期間5年で約1.5万円)
そしてワンルームマンション経営を始めると、毎月のローン支払い以外に修繕積立金や管理費も発生します。
投資用ワンルームマンションの収支を出すには、これらの費用も含めて計算します。
また入居者が代わり、次の入居者が決まるまでの間は空室として家賃収入が見込めない可能性もあります。
そのため、マンション経営を始める際には、毎月のキャッシュフローをプラスにする必要があります。 これらのことをふまえて物件選びを慎重にすすめてください。
投資用ワンルームマンション経営を効率よくすすめるには
実際にマンション経営をしていると、利回り以外にもさまざまな費用やリスクが発生してきます。当初の予想よりも実質利回りが下回ることはありますが、常に入居者がいる状態をキープできれば収入は途絶えることはありません。 利回りが低下して収入が減ることや空室を防ぐなど、マンション経営におけるリスク回避にはさまざまな方法があります。
金利上昇対策として、返済額を少なくすることで早期返済を行えば、トータル返済額の削減が実現
経年による家賃の低下を防ぐために、設備投資をして物件の付加価値を上げること。
(例: 居住区域が女性に人気があるエリアなら、女性が好むシャワー付きトイレや独立洗面台などを新しく設置する)
ワンルームマンション経営を個人で行っているオーナー様にとっては、投資用ワンルームマンション経営の手間を少しでも省きたいニーズがあります。
家賃収入の一部を代行業者へ支払うことにより、空室時の家賃を保証するものや、家賃の遅延を督促、回収するシステム、また空室期間中、 次の入居者を募集してくれるサービスなどがあります。プロパティ・マネジメントやアセット・マネジメントとよばれることもあります。
投資用ワンルームマンションはすぐに売らずに長く所有する
投資用ワンルームマンションをローンで購入した場合、数年で物件を売却すると収益が出ないどころか赤字になることがあります。
物件は年数が経てばその価格は下がります。購入した金額よりも安い値段でマンションを売れば、その損失や購入時の諸経費、管理費、修繕積立金の合計が家賃収入を上回ってしまうリスクは高くなります。
短期譲渡の場合、キャピタルゲインに対して20%の税金もかかります。もし、売却も視野に入っているのであれば、5年以上保有することをお勧めいたします。
投資として購入した物件は、できるだけ長く運用して安定した収入を得るようにすること、もし10年後など、期間限定で売却するなら最初から赤字にならないような資金計画を立てなければなりません。
いかがだったでしょうか。今回の記事ではワンルームマンション投資を始める際に気を付けておくべきポイントについて詳しく解説していきました。
ワンルームマンション投資は先の長い投資です。すぐに大成功をつかめるものではありまので、長期間にわたり地道に続けていくことこそが成功の秘訣になります。
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