マンション経営コラム|第2回 ワンルームマンション経営における物件の選び方
人気エリアの物件なら資産価値も高く狙い目

景気が回復傾向にあるため、特に都市部においては地価が上昇することが予測されています。少子高齢化、晩婚化、核家族化に伴い、都市部においては単身世帯が増え、ワンルームマンションのニーズは今後も高まる見込みです。
ワンルームマンション経営に適した物件は、人気エリアで今後地域の発展が見込まれる場所、オーナー様ご自身も住んでみたいと思うような間取りや設備のある部屋を選んでください。利回りを重要視し、自分が住まないからという理由で購入し、長期間の空室で悩んでいるオーナー様からの相談も非常に多くなっています。まずは、自分が住んでも良いという物件を選ぶことが重要です。
特に住宅性能表示制度に基づいた「設計性能評価」や「建設性能評価」がついた物件は、資産価値が高くなります。
オーナー様ご自身もマンション管理に積極的に関わり、建物の維持管理に努め、物件の資産価値を落とさないようにするのも大切です。
物件選びは、経済情勢や立地条件などを総合的に考える
ワンルームマンション経営の物件選びで大切なことは、現状の形に投資するのではなく、その物件の将来性を見極めることです。
ワンルームマンションの収益には、売却利益と家賃収入の2種類があります。
バブル全盛期の売却利益を優先した経営方法は終わり、現在では好立地の値下がりがしにくい物件を長期に所有して、そこから得られる家賃収入で収益を上げる経営にシフトしつつあります。
家賃収入を主の収入にし、同時に売却益を狙える物件を購入することが好ましいです。
ここ数年は低金利の時代が続いており、金融機関から借り入れをして物件を購入し不動産経営をする人が増えています。10年前の金利水準から比べて、融資金利で1%ほど下がっていますので、この低金利の時期を狙うことも重要です。
月々のローン返済額や諸経費を差し引いても収益が出る物件を探すには、次のような場所が狙い目です。
・ 人気が高いがマンションの供給が少ない場所
・ 新線、新駅の予定がある、再開発計画がある場所
・ 女性に人気がある場所
・ 規制緩和により容積率が緩和されると見込まれる場所
・ キャンパスゾーンとビジネスゾーンの交差する場所
・ 一定の施設に依存するのではなく、複数の施設が入居需要を支えていること
次に、ワンルームマンション経営の物件選びのポイントを説明します。
都心部に多いワンルームマンションのニーズ

ワンルームマンションを必要とする単身世帯は、都心部に集中しています。
東京都が国勢調査の資料から予測・作成した「東京都世帯数の予測」によると、2005年度実施の国勢調査では、都内の単身世帯の割合は42%で、その後も上昇すると予想されており、平成32年度には平成22年度からさらに、8.2%世帯数が増加する見込みです。単身世帯の増加は、若年層のライフスタイルが変化し、未婚率や離婚率の増加したことが原因の1つと考えられています。
今後、資金力のある独身女性の人数がさらに増えて、自分が住むのに快適な品質の高いワンルームマンションを求めることも予想できます。
また、単身赴任の増加によりワンルームマンションをウィークリーマンションの代わりに利用される例も増えてきました。ライフスタイルの変化によりワンルームマンション自体の使い方も変わってきました。
都心部のワンルームマンションの家賃動向を見ると、バブル崩壊後、土地や株価、マンション価格などが下がったのにもかかわらず、賃料は新築で8~9万円台、中古でも7万円台後半~9万円台と安定しています。
都心部においては、単身世帯が増えていても住まいは賃貸で構わないと考える人が多いということがよくわかります。ライフスタイルの多様化により、終の棲家を持たないという賃貸派の方も増えました。そういった方は、利便性の良い都市部にすむことが多いのも特徴です。
マンション経営を活発化させる地価上昇や国の支援策について
国土交通省が発表した「平成27年度地価公示」によると、1992年から2006年までの期間、東京都では地下の下落が続きましたが2007年と2008年では上昇、その後2013年まで再び下落したものの、2014年、2015年は上昇しています。
この間、地方の地価は下落が続きましたが、大阪圏や名古屋圏では東京都と同様の地価の上昇がみられました。
安倍政権の経済政策が功を奏して景気が回復傾向にあり、オリンピック効果も加わって、都市部の地価上昇が今後も見込まれています。さらに相続に有利な区分所有マンションの需要も見込まれています。
東京都内においては、ワンルームマンションのニーズの高まりと地価上昇によるワンルームマンション価格の値上がりが予想されています。
都市部のワンルームマンションの建設を後押しする政策もうち出されています。
国土交通省では、市街地の整備を推進するために「都市再生緊急整備地域」を全国に62地域指定しました。
その指定地域面積の34%以上を東京都が占めています。
国土交通省では、さらに駅周辺の商業地域や再開発地域においては土地を有効活用する目的で建物の容積率の拡大を図っています。
限られた土地を有効活用するには、上に建物を伸ばす必要性があり、建物の高層化が予想されます。この政策は、その地域内におけるワンルームマンションの資産価値上昇およびその維持に大きく貢献することになります。
物件の場所は将来性も考えた選択が不可欠

物件の立地について考えてみましょう。
ワンルームマンション経営は、「将来性に対して先回りして投資する」ものです。
この考え方をもとにして、物件の場所を選ぶのを忘れないようにしましょう。
ワンルームのニーズは都市部に多いのですが、その都市地域ではまだ鉄道などのインフラは発展途上にあります。 新線や新駅の計画が発表されれば、それまで「陸の孤島」と思われていた場所が、あっという間に人気エリアに変わってしまうことも珍しくありません。
また東京スカイツリーのような施設が誕生することで、人が集まり経済効果が高まって周辺地域の資産価値が上昇することもあります。
2020年の東京オリンピック開催後、周辺地域は、施設が転用され利便性がよくなることも予想されます。
そして海外から多数の企業の要人が参加するような国際会議や企業の会合が次々と開催されれば、それに伴い参加者の宿泊施設が必要になりホテル建設が加速します。
国際クラスの収益力の高いホテルができれば、周辺の不動産価格も上昇します。
これらは東京都内における物件選びの一例ですが、国内の他の地域でも同じような事例は数多くあります。日頃から開発計画などの情報を収集しておきましょう。
そのような情報は、公開されていることも多く、いち早く動きをおこすことで有利な条件で購入できることも忘れないでおきましょう。
借り手に好まれるワンルームマンションの仕様を十分に研究しよう
ワンルームマンションは時代と共にその仕様は変わり、品質も高くなっています。投資用ワンルームマンションの物件選びは、
オーナー様も住んでみたいと思うものを選んで下さい。
現在、投資用ワンルームマンションとして人気がある物件の特徴は次の通りです。
◆面積目安は20㎡以上で広さ
間取りに無駄のないもの(例:廊下が長い部屋は不可)※25㎡以上であればなお可
◆修理費用がかかるような過剰な設備が施されていないこと
◆キッチンは独立型、バス・トイレが分離されている、収納が充実している
※独立洗面台があればなお可
◆防音対策がされている(建設の仕様をチェックすればわかります)
◆セキュリティが万全であること
(オートロック、居室ドアがダブルロック、モニター付きインターホン等)
◆災害に強い構造(RC構造・SRC構造)
◆毎月の管理費用に見合った共有部分(ゴミ置き場、駐輪場、通路など)の設備管理及び掃除が行き届いていること
◆住宅性能表示制度にもとづいた「設計性能評価」や「建設性能評価」がついている物件
該当物件は工事中または居住中でも現地を訪れて、周辺の環境や最寄り駅までのアクセスなども必ず確認しましょう。また、入居する方が帰宅する夜の様子を見ることも大事です。
昼と夜では、街の様子も随分変わります。昼の姿と夜の姿を両方確認することが必要です。
安定したマンション経営に不可欠なマンションの共有部分管理
ワンルームマンション経営を取り巻く状況や、人気物件の特徴および周辺地域の環境といった要因は、ワンルームマンション経営成功のカギとなりますが、成功のポイントはそれだけではありません。
法律ではマンションの管理は、区分所有者で管理組合を結成し行うと定められています。エレベーターや廊下、階段といった共有部分の清掃や設備の点検などが該当しますが、実際にはマンションのオーナー様がするのではなく、管理組合が管理費用を払って管理会社に委託する形で行うのが一般的です。
これらの運営を請け負う管理会社によって、ワンルームマンションの価値は大きな影響を受けます。管理会社の業務内容が悪ければ、建物の不具合が発生しやすく老朽化も進むため、マンションの資産価値は大きく下がります。
一方、管理のされていない物件は、建物の躯体部分の痛みもすすみます。特に自主管理のマンション・アパートは管理状況がマチマチです。管理がずさんで修繕費用がかさむことも大きく考えられますので、一時の管理費をケチることなく良い状態を維持することの方がトータル的に見てメリットがあります。
ワンルームマンションのオーナー様も、建物の維持管理を全て管理会社任せにせず、自分も管理組合総会に参加するなどして積極的に関わっていくべきです。
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