マンション経営コラム|第3回 マンション経営は中古築浅物件で
さまざまな条件下で見る、「築浅ワンルーム」の魅力と収益性の高さ

マンション経営を考えた際、どのような物件に狙いを定めていくか、購入までにはいくつかの大きな選択肢が待っています。
そのとき、常に判断基準とすべきなのは、長期的な安定収入を見込むために、どの段階においても空室の期間をできる限り少なくするための選択です。
マンション経営において一番のリスクは空室です。この空室対策に最大の配慮を行うことが安全にマンション経営を行う秘訣です。
では、どのような物件であれば空室リスクが少なく、仮に空き家となってもすぐに入居希望者が現れるという選択肢になり得るのでしょうか。
鍵となるのは、そのマンションの築年数、特に2000年以降に建てられた「築浅物件」であるという点。そこには、単純に「新しいから」という言葉だけでは片付けられない、さまざまな利点が隠されているのです。
ここでは、立地・環境や費用など、まずは入居する側からの目線でさまざまな条件のマンションを比較検討し、どのようなマンションが住みたくなる物件なのかを紹介します。
そして投資する側から考慮して、いかに「築浅物件」と呼ばれるワンルームマンションが、不動産投資においていますて最良の選択肢であるかを紹介していきます。そこには、最終的な収入額に大きな格差が生まれる要因が秘められているのです。
投資用マンションを選ぶ際には、まず自分が住むときの条件を考えよう
投資用のマンションを購入する際には、まずオーナー様になる方が賃貸マンションに住むことになったとき、どのような項目をどのような基準で選ぶかを再確認すべきでしょう。
あなたが単身者でありワンルームマンションを選ぶと仮定するならば、恐らく最初の大きな選択基準となるのは、月額の家賃ではないでしょうか。俗に、家賃の上限は「月収の3分の1」といわれます。つまり月収が手取り24万円程度の人であれば、家賃は8万円くらいまでに抑えた方が良いとされています。
また、初期費用としては引越し料金、家具などの購入費、(地域によって呼び方などは違いますが、東京の場合)敷金・礼金、さらに1カ月程度の前家賃が必要となります。単身者の住宅選びとはいえ、新たな住まいを選ぶ際にはそれなりの出費を覚悟しなければなりません。
ここで注意してほしい点は、投資利回りが良いからといって、入居者に選ばれそうもない物件を購入することです。自分が住みたくない物件に入居者は住みたいのでしょうか?
マンション経営は、賃貸が入ってこそ初めて成功です。3万円の学生が住むようなマンションや築30年のアパートに住む方はどのくらいいるでしょうか?その点をもう一度考えて下さい。
この他には、立地、通勤・通学、買い物や趣味の場所に行きやすいか、駐車場の有無、周辺の治安など、生活する上での利便性、そして部屋自体の広さや雰囲気(和室・洋室など)、防音、収納、キッチンの充実ぶりなどが、一般的に選択基準となる項目です。
当然、立地も入居者が選ぶ重要なポイントです。ここで考えてほしいのは、新宿・渋谷・池袋・東京・品川・上野などのターミナル駅に行くための私鉄沿線で購入するのか、上記であげたターミナル駅を結ぶ環状線や地下鉄で購入するのか、で入居者から選ばれる確率も変わります。もちろん入居者からのニーズがあるのは、複数のオフィス街を結んだ環状線や地下鉄です。
不動産業者にある無数の物件の中から、実にさまざまな要素を考慮して、ワンルームマンションを選ぶことになるのです。
ワンルームかファミリータイプか、選び方の違い

単身者がワンルームマンションを選ぶ際にも、これほどまでに考慮しなければいけない項目が数多くあります。
これが、世帯全員が住むことを考えたファミリータイプのマンションを選ぶのではあれば、どれほど多くの項目を選択基準とし、どこを優先していくことになるのでしょうか。
例えば夫婦2人の場合でも、ご主人は通勤の利便性や駐車場などを優先したいでしょうし、奥様はキッチンの広さや日当りなどを最優先に考えるかも知れません。お子さんがいれば、それぞれの学校への通いやすさが優先課題になりますし、高齢者がいる家庭であれば病院へのアクセスや階数、エレベーターの有無などを考慮に入れなければいけません。 また、ファミリー物件は、水回りなどの設備の流行り廃りも激しく、設備を維持していくためにコストもかかります。
一方、ワンルームマンションの広さはある程度決まっているので、住宅設備の流行り廃りはありません。トイレ・バス別、クローゼット、独立洗面台、ネット環境、室内洗濯機置き場など限られています。人気の設備を絞りやすいのもワンルームマンションのメリットです。
住む人の数だけ、選択基準は増えてしまうことになります。
もちろん、2DKや3LDKといった、ワンルームマンションよりも広い部屋が必要になりますから、初期費用やランニングコストである家賃も必然的に高くなり、月収とのバランスをより綿密に計算していく必要もあります。
そもそもファミリータイプへの入居を考える際には、賃貸が良いのか否かというのも大きな選択肢です。現在の住宅ローンは変動金利の場合、もっとも安いもので1%を切るものが多く登場しています。希望する居住年数などにより条件は異なりますが、一般的には賃貸より購入した方が安くなるという試算も多くあるのです。
一口にマンションに住むと言っても、ここまで見てきたようにワンルームマンションとファミリータイプとでは意思決定基準は大きく異なります。
住む人が多くなればなるほど意思決定者が増えるために時間がかかり、ファミリータイプのマンションはそれだけ条件も厳しくなるのです。
意思決定の早さと費用が、ワンルームマンションを選ぶべき決め手
ワンルームとファミリータイプのマンションの違いは、借りる側の決定基準であるとともに、あなたが投資する側になったときの決定基準にも大きな差異をもたらします。すなわち、ファミリータイプの賃貸マンションは、いざ空室になった場合に、新しい入居者が決まるまで時間がかかってしまうというデメリットがあるのです。
ワンルームマンションは、東京都内であればよほどの悪条件でない限り、毎年2〜3月頃には進学や就職、転勤などで必ずと言っていいほど、入居希望者が現れるはずです。仮にこの繁忙期を逃しても、単身者は流動しやすいため、閑散期でも入居希望者を期待することができます。
投資のことを考えれば、ワンルームマンションの方が圧倒的に空室へのリスクが少ないために有利と言えるのです。
長期的な所有を考えた際、ワンルームとファミリータイプとでは、かかる費用も大幅に変わります。
例えば入居者が退去し、次の入居者に向けたリフォームを考えてみましょう。その費用は、単純に部屋単価×部屋数(もしくは部屋の広さ)という計算になりますから、ファミリータイプと比較してもワンルームマンションは3〜5分の1程度に収まる形になります。
しかもファミリータイプであれば、次の入居者がいつ現れるかわからない状態が続くという可能性もありますので、実質は先行的に費用をかけなければなりません。
そして、ファミリーマンションは一般的に入居期間が長いので、原状回復費用がかかるのも特徴です。ワンルームマンションは、入居者が外れてもすぐに付くので、定期的に物件のメンテナンスができることも特徴です。
また意外と見落としがちなのが、エアコンの交換です。
近年、一般的にその寿命は10年以上ある(家電メーカー、量販店などの見解)とされていますが、省エネ技術は日進月歩で進んでいます。
大手空調メーカーや一般社団法人日本冷凍空調工業会の調べによれば、2000年頃を境に急激に技術革新が起こり、現行機種と15年前の機種を比べると、およそ半分の電力消費に抑えられています。
さらにエコ意識が進んでいる現状においては、エアコンは常に最新の機能性を求められるといっても過言ではありません。
エアコンは他の家電と違い、部屋に据え付けられている設備の一つです。現在のマンションでは、ほぼすべての部屋に設置されていることが前提とされますから、いざ交換となると部屋主(オーナー様)の負担で部屋数分だけ買い替えなければならないのです。ファミリータイプのマンションでは、上記の壁紙や床などの張り替え以外に、相当に大きな出費となることを想定しなければいけません。
投資の観点で考えると、利回りの点でもワンルームの方が優れていると言わざるを得ません。現状で東京23区内に限った相場を見てみると、ファミリータイプのマンションが3〜4%と想定されているのに対し、ワンルームマンションは4〜6%であると試算されています。
このように初期費用(購入費用)・ランニングコストの差に加え、利回りでもワンルームマンションの方が投資の有益性として圧倒的に優位であるのは一目瞭然なのです。
「築浅物件」の人気が高く、投資でのリスクも少ない訳

では、ワンルームマンションであれば、どのような物件でも空室リスクが少なく安定収入を得られるかと言えば、必ずしもそうとは言い切れません
自分が住む部屋を探すときにも気になる点だと思われますが、投資する側に立ったときには、借りる際以上に築年数に気を配るべきです。これは、最終的な収益性の多寡に大きく関わってくるからです。
中古ワンルームマンションの築年数は、大きく分けて二つのカテゴリーに分かれます。いわゆるバブル期(80年代後半〜90年代前半)に建てられた「バブル期物件」と、2000年以降に建てられた「築浅物件」です。現在、東京23区内で市場に出回っている中古ワンルームマンションは、ほとんどがこの両者のどちらかに分類されます。
両者を比較した際、空室リスクを含んだ投資という観点においては、築浅物件の方が圧倒的に有利であると考えられます。
バブル期物件の特徴は、多くが大田区・世田谷区・杉並区・中野区など東京23区の外側に建てられており、都心部ではないことが見られます。これは、当時の土地価格の高騰という事情があり、比較的低価格であるエリアを選んで建てられたワンルームマンションは、いわゆる「準都心」とも呼ばれる、上記の地域に集中しているのです。
一方、バブルが崩壊して土地価格が下がった時期に建てられた築浅物件は、千代田区・新宿区・渋谷区・港区・品川区といった、立地面で恵まれた都心部に多くの物件が見受けられます。立地条件を見ると、利便性の面などから築浅物件の方が有利な条件が揃っていると考えられます。
室内の条件も比較してみましょう。
部屋の広さを見ると、先述の土地価格とも関連して、平均的に築浅物件の方が広いことが多いようです。設備面でも、バブル期物件はトイレと浴室が一体化した3点式ユニットが多く、築浅物件ではバス・トイレ別の物件が主流です。また築浅物件には、ケーブルテレビやインターネット回線、室内洗濯機置き場などの設備も充実している物件が多く、建物自体の防犯設備(オートロック、防犯カメラなど)も概して充実しています。これらは、室内設備への入居者の新たな要望を反映していった結果と言え、バブル期物件には見られない、入居者にとって非常にありがたいメリットといって良いでしょう。
特に入居者として女性を意識した場合、バストイレ別・防犯・ネット環境は、もはや必需品といっても良いでしょう。
ここまでの条件を比較しただけでも、入居希望の多さの見込みという点で、築浅物件に分があると言わざるを得ません。家賃収入が見込めない空室という期間は、マンション投資にとって大きな痛手となります。リスクの少ない投資を望むのではあれば、築浅物件を選ぶべきであるということははっきりしています。
マンションの場合、外観がタイル張りであれば築年数は大きな差にはなりません。問題は、室内の住宅設備です。ここをしっかりメンテナンスしている物件には、適正な家賃で入居者がついていることを覚えておいて下さい。
新耐震基準は、投資用マンションを選ぶときの最低ライン
築年数以外に、入居希望者が集まるかどうかの条件として考えられるのは、駅からの距離や治安・騒音などの環境面、防犯設備の充実などが考えられます。
もう一つ、大きな震災を経験した近年、新しい入居者が重要視しているポイントが耐震基準です。1981年6月1日、建築基準法施行令の改正によって新しい耐震基準が施行されました。この日以降に建てられた建物(ここではマンション)は、建築確認を受け、この新耐震基準が適用されています。逆に言えば、これ以前に建てられた建物は新耐震基準から漏れているため、入居希望が少ないことが考えられるのです。
新耐震基準について留意しなければいけないのは、建築確認は竣工の時点ではなく、着工のタイミングであるということ。つまり1981年6月1日以降に着工された建物が新耐震基準に準拠しているのです。マンションの建築期間は一般的に1年〜1年半程度と想定されますから、たとえ1982〜3年に竣工したとしても、着工時期が上記以前であれば新耐震基準に準拠していない物件となります。
マンション経営を行う際は、この新耐震基準が最低限必要な条件であることを踏まえる必要がありますし、そもそも新耐震基準施行以前に建築されたような古い物件は避けるべきです。築浅物件はもとより、少なくともバブル期以降に建築された物件を選ぶことが最低ラインとなります。
利用可能年数から見えてくる、トータル収入額の差
実際の購入価格の値ごろ感を考えると、築年数が経っているバブル期物件の方が有利です。
相場としては、バブル期物件は1000〜1200万円の価格帯が多く、築浅物件は(平均的な部屋の広さが大きくなることもあって)1500〜2500万円程度と、やや高めの価格設定が一般的です。
そこから試算される利回りは、同程度の家賃設定であると仮定すると、バブル期物件が5〜6%前後、築浅物件は4〜5%程度になります。 一見するとバブル期物件の方が実際の収入がやや多いように見受けられますが、これはあくまでも単年レベルの比較に過ぎません。
バブル期物件は、すでに築年数が25年程度過ぎています。一般的なマンションの利用可能年数は60年~70年ほどと考えられますから、今後の家賃収入が見込める期間は残り35年程度です。
文字通りの築浅物件であれば、築10年と仮定して家賃収入が見込めるのが50年ほど。
たとえバブル期物件の方が高利回りで、500万円安く購入できたとしても、家賃収入と利用可能年数との掛け算を考えれば、結果的に築浅物件の総収入額が高くなると想定されるのです。また、上述のように入居希望が多いであろうと予測される築浅物件の方が、空室ができてもすぐに希望者が募れるため、トータルの収入の安定感を考えれば結果的に有利に働きます。
ワンルームマンション規制が、築浅物件のプレミア人気を呼ぶ

ここまで、投資マンションの築年数をベースとして、その価値の高さを左右する要素を探ってきました。実は今後、中古ワンルームマンションの価値がさらに高まることが予想されているのです。それは2007年頃から常態化した、俗に「ワンルームマンション規制」と呼ばれる条例や指導要綱による、新規物件供給の大幅減少です。
現在、東京23区すべてでワンルームマンション建築に関する規制が、何らかの条例・指導要綱によって施行されており、新たに建築する際には必ず従わなければならない状況にあります。
主なものには、最低の占有面積の規定があります。従来は18平方メートル以上が最低面積であったものが、多くの区で25〜28平方メートル前後に設定されるようになりました。
こうしたワンルームマンション建築規制の背景には、マナーなどの面で居住者の社会意識が希薄であることなどが表向きの理由としてありますが、それ以上に各自治体の税収増への思惑があります。ワンルームマンションの単身者の中には、住民票を移さないまま入居してくる人も多く、区はそうした入居者から住民税を徴収することができません。できれば、マンションの大型化を図ってファミリー層を呼び込み、確実に税収を狙いたいという意図が裏側にあるのです。
また豊島区のように、ワンルームマンションなど狭小の集合住宅を一定の条件下で建築する場合に、「狭小住戸集合住宅税条例」に基づく、いわゆる「ワンルームマンション税」を課税することもあります。
豊島区には数多くの大学があるので、学生たちが住むためのワンルームマンションへの需要は高いままです。しかし、ご説明したような事情から今後はワンルームマンション自体の数が増えることは期待できません。
他の区でも、似たような状況は多く見られます。交通の利便性が高く大学に通いやすいなど、学生をはじめとする単身者の住居に適した立地に、新たなワンルームマンションを建築することが23区全域で難しくなっています。
ワンルームマンションの特徴でもある縦に長い「ペンシルマンション」が今後建ちづらくなります。ワンルームマンションが、都心に供給できたのは、少ない土地に高い建物を建てることができたからです。しかし、規制のためファミリーマンションを混合しないといけなくなったため、いわゆるペンシルマンションの建築ができなくなり供給が減ってきました。
裏を返せば、需要ばかりが高まって新規供給が追いつかないという現状においては、好立地に既に建築されている中古ワンルームマンションに入居希望者が殺到するという事態が現実のものになっています。つまり、中古ワンルームマンションは、ますますプレミア感のある人気を博すという時流になってきているのです。
上述した通り、築浅物件は千代田区・新宿区・渋谷区・港区・品川区といった人気エリアに集中しており、プレミア感に拍車をかけています。 マンションへの投資を考えるならば、こうした好立地にある築浅の中古ワンルームマンションが最も効率がよく安定的で、空室リスクも少ないという、最良の選択肢であると結論づけることができるのです。
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