マンション経営コラム|第5回 国債、先物など投資対象別リスクについて
資産運用は「余剰資金でスタートし引き際を決めて行う」が鉄則

低金利の現在において、待っているだけではお金は増えなくなりました。私たちは、貯金を色々な投資方法を使って賢く増やしていかなければなりません。
投資には、株式投資や投資信託、商品先物取引など色々な種類があります。
新聞でもこれらの投資についての情報は毎日報道されていますし、うまくやって大成功した本などもたくさん出版されています。
このように投資は身近にあり、思い立ったらすぐにでも始められるのですが、予備知識なしでいきなりすると必ずと言っていいほど失敗します。
これから投資を始めるなら、その資金は貯金を全てつぎ込むのではなく、失敗してゼロになっても生活に影響が出ない「余剰資金」の範囲で行うのが鉄則です。
そして、引き際を決めること。
欲を出さず、自分が設定した利益のゴールに到達したら、まだ儲かりそうだと思ってもそこで止める勇気も持たねばなりません。
また投資をするなら、経済や社会情勢についても情報を集め、それらを客観的に総合的に判断して、どの投資にどれぐらい資金を投入するかまで、自分で決めなければなりません。
常に冷静に状況を観察し、リスクを最小限に抑えられる投資家が成功します。
ここでは投資の種類別にそのリスクを紹介していきましょう。
投資の種類別リスクについて
人気の高い投資についてそれぞれリスクをまとめてみました。
【債券投資】
①信用リスク
発行者の倒産で、元本の返済や利払いが不能になることがあります。購入を検討する時は債券の格付けを参考にします。
②価格変動リスク
満期を待たずに途中売却すれば、時価での販売になるため売却損が出ることがあります。
【株式投資】
①株価変動リスク
株券の価格が売却時に購入時の価格を下回れば売却損が出ます。
②流動性リスク
売買高の少ない銘柄は、売却したい価格で株券が売りづらいため、東証一部上場企業のような流動性が高い株式に投資するほうが安全。
【投資信託】
①元本割れリスク
定期預金と違って、購入価格が日々変動します。
解約時に元本が保証されていないため、投資対象である株式や債券市場の動向により価格が下がれば損が出ます。
投資信託の種類によりリスクやリターンの度合いが違うので、自分がどれくらいまでリスクを負担できるのかを見極め、他の投資方法とのバランスをとりながら時期をずらして複数回に分けて購入しリスクを分散します。
【FX】
①為替変動、金利変動、政情変動リスク
これらは常に変動していることを意識し、購入する時期や通貨の種類を分散します。
②マージンコールやロスカットによるリスク
FXでは、証拠金を上回る損失を防ぐためのルールがあります。
証拠金の金額が、現在の含み損を差し引いてマイナスになれば、投資家への警告なしに強制決済されてしまうことがあるため、決められた時間までに追加の証拠金を預け入れて対応します。
証拠金の金額に余裕を持った取引をするようにします。
③レバレッジによるリスク
初心者のうちは、レバレッジを低めに設定して取引します。
【商品先物取引】
①レバレッジによるリスク
商品先物取引は、担保金として取引数量・金額の一部にあたる委託者証拠金を預ければ始めることができます。
10~20倍程度のレバレッジ効果がある反面、取引期限が最長1年程度と決められています。
商品価格が下がれば取引数量分の損失金額を負い、委託者証拠金を何倍も上回る事態にもなります。
余剰資金があればチャレンジするという前提で、損失を含めて商品先物取引に投資する額を最初にきちんと決めておくのが賢明だと言えます。
マンション経営のメリットとは

債券、株式、投資信託、FX、商品先物取引のリスクは以上の通りですが、マンション経営との違いは何でしょうか。
一番の違いは、マンション経営は「銀行融資」を受けながら進められるという点です。ローンを組んで物件を購入し家賃収入を得ながら、ローンを返済していきます。
ある程度返済がすめば、さらに借入れをして2件、3件と物件数を増やしていくわけですが、数百万円の自己資金で数千万円の借入れをしながらも資産を拡大し、そのレバレッジ効果を得られるのが大きな違いと言えるでしょう。
マンション経営の目的なら銀行からの借入れもしやすく、メガバンクだけでなく地方銀行においても投資家にとってメリットの大きい特典がついたローン商品がたくさんあります。
また不動産を購入すれば、投資した建物に対して「減価償却」という費用を所得から差し引くことで所得税の節税ができます。
その他の投資では、収益をあげればあげるほど課税されてしまいます。節税対策ができるメリットがマンション経営にはあります。
マンション経営の今後の展望」
ここ数十年におけるマンション経営の動きをみてみると、バブル時代、不動産を買えばその価格が値上がりしていたため、売却によって利益を得る「キャピタルゲイン」という投資スタイルが主流となっていました。
バブル崩壊後、マンション経営は一時期影を潜めていましたが、2008年のリーマンショック前にも、海外の投資会社が日本の不動産、とりわけ温泉旅館やゴルフ場などに投資を行い、経営改善した後に売却して利益を得るという同様の方法が行われていました。
その後2012年に再び海外投資会社による日本の不動産への投資が活発になっていますが、これまでのキャピタルゲインよりも長期的に安定した収入が見込まれる不動産への投資(インカムゲイン)が活発になっています。
安定した収入が長期間得られるというメリットは、大型不動産だけではなく、ワンルームマンションのような小規模不動産投資においても同じ傾向が見られます。
東京では、単身世帯が増加しておりワンルームマンションのニーズが高まる一方で、新築ワンルームマンションが建てにくくなるような「ワンルームマンション開発規制」といった条例が増えており、ワンルームマンション需要に対して供給が追いつかない状況となっています。
中古のワンルームマンションの流通件数は10年前と比較して10倍にもなっています。
以上のようなことから、東京におけるワンルームマンション投資はとても始めやすい環境だと言えます。
マイナス金利導入後のマンション経営
2016年1月、日銀によるマイナス金利導入が発表されました。
その後の新規発行国債の利回りが低下したのを始め、住宅ローンの金利もさらに低下するという見方が強まっています。
一般的に超低金利状態が続けば、物価が上昇すると考えられています。
不動産投資家にとっては低金利の住宅ローン商品を利用して物件を買い、値上がりによって売却益を得られるチャンスともいえます。
そして物件を売却せずとも、長期的に所有して賃貸経営をすることで安定した収入を得ることもできます。
ただし現在の日本は、低金利時代が続いたにもかかわらず物価はさほど上昇せずデフレ現象もありました。
アベノミクス効果が期待されているものの、まだまだ経済全体が上向く気配はなかなか見られません。
マンション経営に有利な政策がとられてはいるものの、投資家自身も儲かる物件を見極める目を持たねばなりません。
東京の不動産価格は、少しずつ上昇し始めています。都内駅徒歩10分以内中古マンションの価格は、平成27~28年の1年間で下がったエリアは一部を除きほとんどありませんでした。
そして10%以上上昇したところもあります。
マイナス金利後、住宅ローン利用者がさらに増えれば、新築・中古の区別無く投資目的で不動産を買う人が増えると予想されます。
もしマンション経営を始めようと思うなら、自己資金はどれぐらい用意して、どのように始めればよいのか。
不動産投資に関する無料セミナーが各地で活発に開催されていますので、参加してみましょう。
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