マンション経営コラム|第2回 不動産投資で合同会社設立のメリット
合同会社を設立して不動産投資をするメリットとは?
不動産投資には、物件を購入し賃貸物件として家賃収入を得ながら利益を上げる方法と、購入した金額以上の価格で不動産を売却して利益を得る 2 つの方法があります。
ワンルームマンション経営においては、前者の「部屋の入居者から家賃収入を得る」方法で収益をあげながら、その収益を次の物件の購入やローン支払いにあてていきます。 こうすれば、ローンの早期返済が実現し、かつ短縮した返済期間の支払い利息も節約できます。
このようにして所有物件を少しずつ増やし、長期間安定した家賃収入を増やしていくわけですが、現在サラリーマンとして働いていれば、不動産投資から得られる収入は、サラリーマンの給料所得と合算され税金がどんどんかかっていきます。
上記のケースだと合同会社を設立して節税対策をとるのが有効なわけです。
ここでは、サラリーマン男性が妻を社長にした合同会社を設立して不動産投資を行うメリットや注意点について説明していきます。
個人事業と法人事業における所得税率について
サラリーマンの給与には、主に所得税と住民税の2種類が課税されています。
例えば、年間所得が695万円を超えて900万円以下の場合は、所得税率が 23%です。
年間所得700万円の場合だと、
700万円×0.23-63万6千円(控除額)=97万4千円
の税金を支払うことになります。
税率は所得が増えれば上がり、900万円を超え1800万円以下だと33%(控除額:153万6千円)、1800万円を超え4000万円以下だと40%(控除額:279万6千円)、4000万円を超えれば最大で45%(控除額:479万6千円)にもなります。
加えて住民税も10%課税されます。
それでは法人事業の事例ではどうなるのでしょうか。
法人では、その形態や状況にもよりますが、おおまかには課税所得が800万円以下なら15%、800万円を超えれば25.5%となっています。
不動産投資を行って所得を増やしても、個人収入のままで税金を支払い続けると、所得が増えれば増えるほど税率は高くなります。
一方、法人だと15%か25.5%のどちらかです。※別途、合同会社を維持するための事業税が10%程度かかります。
現在すでに700万円の個人所得があり、それに加えて100万円不動産所得があれば、23%の課税を受けますが、合同会社を設立して所得を申告すれば不動産所得分の100万円については、15.5%の納税で済むのです。
現在の政策では、法人税率は下がる傾向にありますので、節税のメリットは拡大することが予想されます。
所得税率以外にもまだある。個人と法人の違い
不動産投資のために合同会社を設立するメリットは、所得税率だけではありません。
不動産譲渡において、個人の場合だと所有期間が5年以内なら譲渡益の 39%、5年を超えれば20%の税率がかかりますが、法人なら期間に関係なく法人税(15%か25.5%)を支払うだけです。
そして法人では、事業目的の範囲内であれば、不動産関連所得以外の経費についても経費として計上できる仕組みになっています。
自分が会社内において役員であれば役員報酬を、従業員であれば給与としてそれぞれ経費を計上できます。
このようにして所得分散を行えば、経営者の所得税、住民税を節税することに成功できます。
この他に、個人では加入できない倒産防止共済や小規模企業共済も法人なら加入することができます。
これらの共済は、毎月の掛け金を所得から控除することができるだけでなく、解約時には退職所得となり税金がほとんどかからないため、大変お得です。
貯蓄の手段としてだけでなく、払い込み済み掛け金合計額範囲で、担保や保証人がなくても事業資金の借入れを行うことができます。
会社を設立する目処は?具体的に何をすればいいのか
次に合同会社をいつ立ち上げるかですが、サラリーマンの給与と不動産投資の収入を合わせた個人所得総額の費用が 1000 万円を目安とします。
もちろんサラリーマン生活を続けながら合同会社を設立するので、妻に社長となってもらうのです。
ちなみに、立ち上げる会社は、「株式会社」よりも「合同会社」が適しています。
合同会社は株式会社よりも設立を準備するためのコストや手間がかからないのに、税制は株式会社と同じだからです。
合同会社を設立するには、社員、商号、事業目的、本店住所、公告の方法、決算月、資本金などを決定し、定款を作成します。
そして合同会社の出資金を払い込み、会社設立の登記申請を行い、税務署や法務局、年金機構へ届出をします。
社長である妻以外に社員がいる場合は、雇用保険や労働保険の登録の手続きが必要になってきます。
このような手続きは、初心者には少し難しいため、行政書士、税理士、社会保険労務士、司法書士、弁護士といった法律の専門家に依頼すれば、ミス無く手続きを完了することができます。
手数料も安く、手続きに関わるコスト削減のアドバイスももらえるため大変お得です。
合同会社を設立した後は、これまでと同様、不動産投資を合同会社経由で行っていくだけです。
物件を新しく保有する時は、これまでに投資してきたワンルームマンションを会社の担保に回し、ローンを組んで、管理業務はすでに取引がある管理会社に委託します。
資産全体に占める借入金総額の割合は、40%~50%で低金利、長期で借入れ出来る環境で不動産投資を進めていきます。
会社にすると融資や資金調達の選択肢が増える
合同会社を設立すれば、個人所得よりも所得に対する課税率を低く抑えられることは紹介しました。
加えて、会社を資本金1000万円未満で設立すれば、最初の2期までは売上金額に関わらず消費税が無税となります。
また節税以外に不動産投資のために必要な資金を借入れやすくなります。
日本公庫を利用すれば、個人事業主なら無担保・無保証、法人なら代表者の連帯保証があれば融資を受けることができ、年利約 3%で借入れ可能です。
より良い条件で借入れを実現するポイントをご紹介します。
(1)担保となる物件は資産価値の高いものであること
(2)主婦が社長となった場合、サラリーマンの夫の勤務先での勤続年数、役職、年収が安定していること(会社自体の業績や評価も含まれる)
(3)妻の会社が赤字になっていないこと
(4)現在の借金や手持ち資金額が銀行から借入れを受けるのに適正と判断されること
(5)返済者に返済能力があるか、年齢、健康状態、家族構成などがチェックされる
(6)ローン返済がない持ち家があること
借入れ時には、以上のような観点から審査を受けます。
現在、不動産投資に関する融資はメガバンクのみだけでなく、地方銀行や信用金庫なども特徴がある不動産投資ローンを取り扱っています。
業者選びのポイントは、次の項目を参考に比較してみましょう。
■自分が借入れをしたい金額を借り入れられる
■金利が低い
■融資を受けるための不動産担保が少ない
■保証人や連帯保証人(人的担保)が不要
■融資申し込み時の手続きが簡単(提出書類が少ない)
■申し込みから実際にお金を借り入れられるまでの期間が短い
自分にとって有効なローンを探すために、銀行の情報をたくさん持っている不動産業者を探し、常日頃からリサーチしておくとよいでしょう。
最近では、金融機関はより融資の条件を柔軟にして借入れをしてもらう動きがあり、メガバンクより金利は高めでも鉄骨や鉄筋コンクリート造りなら築 40 年、旧耐震設計の物件でも融資をしてくれるところも出てきました。
以前よりは、借りられる可能性が高くなったとはいえ、新しい物件の購入で借入れを検討する時は、失敗しないためにも会社の資金繰りや空室リスクなどを常に考慮しながら不動産投資を進めていきましょう。
サラリーマンと不動産投資の両立の秘訣とは
合同会社を設立しても、それまでと同じように平日の昼間はサラリーマンとして働くわけですから、不動産投資にはできるだけ手間をかけないようにします。
そのためには信頼できるマンション管理会社へ管理業務を委託します。
不動産経営には、募集や契約などに専門的な知識が必要になることもあるので、このようなわずらわしい業務はすべてプロである専門家に任せてしまいましょう。
専門業者には、委託した管理業務についてお金の出入りを管理、記録してもらい、毎月提出してもらいます。
月次決算がスムーズに行えて、新しい投資先を検討するための計画も立てやすくなります。月次を確実に行うことで、年度末の決算書作成や確定申告時にもストレスがかかりません。
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