マンション経営コラム|第17回 相続税対策にも効果を発揮するマンション経営
相続税はどうなっているのか

2015年に相続税の基礎控除額が減額されて以来、相続税対策の重要性が増してきています。改正前、相続税にかかる基礎控除額は、定額部分5000万円と法定相続人1人あたりの控除額1000万円でした。
計算式は、「定額部分5000万円+(相続人1人あたりの控除額1000万円×相続人数)=基礎控除額」です。
妻と子供2人、計3人の法定相続人がいた場合、
「定額部分5000万円+(相続人1人あたりの控除額1000万円×法定相続人3人)=8000万円」となります。
しかし、税法の改正によって、定額部分は5000万円から3000万円に減額になり、法定相続人1人あたりの控除額も1000万円から600万円に引き下げられました。その結果、妻と子供2人、計3人の法定相続人がいた場合、現在の控除額は、
「定額部分3000万円+(相続人1人あたりの控除額600万円×法定相続人3人)=4800万円」となります。そのため相続税対策が必要になる方が増えているわけです。
マンション経営が相続税対策になる理由

マンション経営は相続税対策に効果があります。その理由は、不動産は相続税の課税評価が預貯金や株式にくらべ低いからです。現金や株式などはほぼ額面どおり評価され、ほぼ全額が相続税の評価額になります。
仮にAさんが1億円の預貯金や株式を家族に遺したとします。相続税の評価額は、ほぼ全額の1億円となります。しかしAさんが、2000万円のワンルームマンションを5戸、家族に遺したとすると違ってきます。
Aさんが遺したワンルームマンションは2000万円×5戸=1億円とは評価されません。不動産は購入価額でなはなく土地や建物が評価されます。そして、建物は購入価格の約50%、土地部分は公示価格の約80%が評価額になります。
賃貸物件の場合は、さらに20~30%評価額を下げることができます。その結果、ワンルームマンションの相続税評価額は、購入価格のおよそ3分の1程度にまで圧縮することも可能なのです。 遺された家族に課せられる相続税が抑えられることになるわけで、マンション経営は相続税対策として大きな効果が期待できるのです。
相続時精算課税制度
相続税対策には「相続時精算課税制度」という制度を利用する方法もあります。この制度を利用すれば、生前贈与の際に贈与税を払う必要がありません。2500万円までは贈与税を支払う必要がないのです。しかし、相続時には相続税と一緒に精算することになります。
この制度のメリットは、家賃分が節税できるということです。Aさんがローンを完済したワンルームマンションを相続発生時まで所有していた場合、家賃という収入(現金資産)が増えます。つまり、所得税が増えるということであり、相続時の現金資産も増えることになります。
しかし、Aさんがワンルームマンションを子どもに生前贈与すれば、家賃収入は子どもに移転し、Aさんの所得税の軽減が計られるとともにAさんの財産の増加も抑えられます。また、子どもが自分のものとなったワンルームマンションから発生する家賃を貯金しておき、相続時の納税資金にあてることもよく利用される方法です。
別の面からのメリットも
また、ワンルームマンションを数戸所有し、家族に遺すことは、1棟もののマンションやアパートを遺すのにくらべて別の面のメリットもあります。
1棟ものの場合、一人に与えてしまうと遺された家族で揉めごとが起きることも考えられます。共有名義にしたとしても、売却したいと考える遺族がいればそれに反対する遺族もいる、そこで揉める、ということも考えられます。
ワンルームマンションの場合は、1戸ずつ分けて家族に遺すこともでき、相続後に懸念される紛争を未然に防ぐことにつながります。相続税対策として、これもまた重要なことではないでしょうか。
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