マンション経営コラム|第9回 マンション経営で震災リスクをどう考える
地震への対応

マンション経営を行なう上では、地震など自然災害への対応を考えることも重要です。といって、地震など自然災害を予見したりすることはおそらく無理でしょう。ここで言う「対応」とは、物件を選択する際、その物件がたとえば地震に強い物件かどうかという点にも注意を怠らないということです。
建物の耐震基準は建築基準法に定められています。1981年6月にそれまであった耐震基準を改めた「新耐震基準」が導入されました。1995年の阪神・淡路大震災の際、多くの建物が倒壊しましたが、そのほとんどは「新耐震基準」以前の古い基準によって設計されたもので「新耐震基準」導入以降に設計された建物には、ほとんど倒壊が見られませんでした。
投資したいとおもう物件が、この「新耐震基準」による設計かどうかを確認しておくことは、後々の備えとして重要です。物件が「新耐震基準」による設計かどうかは、契約前に必ず行われる「重要事項説明」で説明されますので、きちんとチェックしましょう。建物の外観だけで判断できるものではありません。
地盤について
地震に対する建物の強度は、地盤も大きく関係します。
2011年(平成23年)3月11日に起きた東日本大震災では、千葉県浦安市に液状化被害が発生しました。アスファルトの道路が波打ち、傾いた建物も少なからずあり、浦安市のマンションの資産価値にも影響が出ました。
もっともこの時、高層マンションなどは基礎工事がしっかりされており、被害は一戸建てのほうに多かったと言われています。そのため、浦安市で一戸建てのマイホームを検討していた人の中には、一戸建てからマンションに変更するケースも少なくなかったようです。
しかし、そうは言っても電気・ガス・水道・通信といったライフラインに大きな被害が出た地域に建つマンションは、その資産価値に大きなダメージを得るでしょう。
液状化の危険性がある地域については、各自治体が作成・公表している地図があります。各自治体のホームページで見ることができますから、物件購入の前に一度、調べることをおすすめします。
洪水などの水害

また、昨年9月に起こった茨城県鬼怒川の堤防決壊による大規模な水害も記憶に新しいところです。
当時、新聞テレビなどで、水害は東京都にとっても決して他人事ではない、ということが言われました。とくに東京都江戸川区は、東京湾に面し、周囲を荒川・江戸川に囲まれているうえ区域の7割以上が「海抜ゼロメートル」になっていることから、その水害対策に注目が集まりました。
こうした水害についても国土交通省の「ハザードマップ ポータルサイト」を見れば、洪水、津波などによって想定される被害、その危険度などを地図で確認することができます。
その地図を見ると、近くに河川がないので水害の心配はない、と安易に考えることはできないことがわかります。低地の場合、河川は遠くとも、その被害を受けることも想定されているからです。
物件選びは時間をかけて
マンション経営で地震などの自然災害にどう対応すればいいかを見てきましが、物件の立地、築年数、周辺の家賃相場といったこと以外に、自然災害という観点からも物件のよしあしを検討することは大切なことです。
もちろんそれだけ手間がかかるわけですが、非常にいい立地にもかかわらず物件価格が安い、という場合、その物件は「新耐震基準」以前の設計による物件かもしれません。また地盤の強度、水害による被害などが関係していることも考えられないことではありません。
そうした点も含めて物件の選択にあたる、そのために時間を割くということは決して無駄なことではないのです。
自然災害は予測できるものではありませんが、将来起こるかもしれないリスクを回避するために、現在できることはしかりやっておきたいものです。
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