マンション経営コラム|第4回 マンション経営を「利回り」で判断しない
中古物件の成功は、売却理由の分析から

成功するオーナー様は、中古物件を購入する際、前所有者の売却理由を分析します。ですから、「なぜ、前の所有者はこの物件を売るのか」、そのわけを知りましょう。
玉石混合とまでは言いませんが、中古物件はまるで同じものが存在しないだけに、超優良物件もあれば、問題を抱えている物件も少なくありません。これまでの経験から言えることは、誰もが欲しがるような"超優良物件"は、そもそも売り物があまり出ませんし、仮に出たとしても市場に出回ることはまずありません。それは、市場に出る前に業者が押さえてしますからです。もし、出たとしてもすぐに売れてしまいます。以前、オーナー様に頼まれたボロ物件をレインズに登録したところ電話がひっきりなしにかかってき30分で売れてしまいました。優良物件を掴むには、そのくらいのアンテナの高さが必要です。
市場に出る売り物件には、なにかしら問題がある物件もしくは、普通の物件と考えていたほうがいいでしょう(絶対に問題がある、という意味ではありません。買うときは、そのくらい慎重になったほうがいい、ということです)。購入する物件が普通のものであれば、ローンの組み方や運用の仕方で差をつけていくしかないということでしょうか。
中古物件購入に失敗するオーナー様の特徴として言えるのは、購入後のシミュレーションを行うことなく、単純に価格や利回りだけで購入の判断をしてしまうことです。その物件が売り出されたのには、どんな理由があったのか?そしてその理由は解決可能なものなのか?については何も考えません。ポータルサイトには、なんで売却するかの理由も書いていません。つまり、単純に価格や利回りで判断している人が意外に多いということです。
物件が売り出された理由によって問題解決の方法も変わってきます。大きな問題であっても、お金さえかければ解決する場合もあれば、時間や労力をいくらかけても解決しない場合もあります。仮に相場よりも安く購入できたとしても、その後の問題によってかえって割高になってしまうことも少なくありません。そこの見極めがポイントです。ワンルームマンションは費用がかかる部分が室内だけなので費用負担も知れていますが、一棟物件になると全部を見なくてはなりません。特に共用部の修繕はお金がかかりますので、要注意です。
今回は、中古物件を購入する際にチェックすべき点。その上で購入をおすすめしない物件の特徴とその問題に対処する方法をご説明します。
中古物件を購入する際のチェックポイント

オーナー様が物件を売却する理由は、オーナー様の数だけ存在しますが、主な理由はほぼ以下の4点になります。
(1)利益が確定できたから。
(2)持ち出しが多いので所有するより、売った方が損は少額で済むから。
(3)修繕費用がかかるから。
(4)入居者に問題があるから。
(1)は、「今、売ったら儲かるから」ということです。さまざまな要件によって、購入時よりも物件の価値が上がり、次のもっと大きな物件を購入する資金を作るといった理由での売却です。特に1棟アパートは、運用の中に売却というステップが必ず入ります。なぜなら、家賃の取れる旬な期間がRC物件に比べて短いからです。そして、売却益を再投資に使います。
逆に(2)は損切りです。これ以上、損失を作らないための売却です。この二つはオーナー様の事情による理由です。
(3)と(4)は物件に関する問題による売却と言えます。物件が古くなり、修理するよりも売却した方が得である。入居者によるトラブルが頻繁に起こり、対処にかかるコストが利益と合わないといった理由です。
4つの理由の中で、購入する側として最も安心できるのが(1)の「利益が確定できたから」です。前のオーナー様は損をしていません。投資物件の売却理由として、一番理にかなっています。
また同様の理由ですが、「現金が必要になったから売る」というケースもあります。投資用物件も、自宅用物件と同様に、購入のためローンを組めば、団体信用保険に加入しなくてはなりません。そのため、将来的に名義人に不幸があれば保険がおり、ローンの残債がなくなります。
こういった場合、極論となりますが「いくらで売っても儲け」になるわけです。したがって、このような物件は相場より安く購入できる可能性が高くなります。現金化を急いでいる時は、相場よりも安く売りに出されるケースが多いです。
収益性に問題、物件の劣化や入居者によるトラブルといった問題があるわけではありませんので、安く購入しても家賃を下げる必要もなく、高い収益を上げられますので、購入をおすすめします。
(2)の理由である「損切り」も新築ワンルームマンションを購入したオーナー様によく見られるケースです。前のオーナー様が運用に失敗したもので、物件そのものに問題がないことも多く、お買い得であるといえます。オーナー様が変わると運用の条件も変わりますから、同じ物件であっても、成功するケースを過去にも多く見てきました。
つまり、売却の理由がオーナー様の所有上の問題で物件自体に何も問題が無い場合、購入するのはOKということです。
購入をおすすめしないのは物件自体に問題のある場合
(3)の「修繕費用がかかる」に関しては、解決のために多大なコストがかかることが多く、購入はあまりおすすめいたしません。特にアパートなどの一棟物件の共用部分の修繕は、費用が高額になることが多いのですが、パッと見わからないことが問題です。購入してから発覚することも多いので、しっかり調べましょう。
また(4)の「入居者に問題がある」は仮に問題のある入居者が出ていってしまっていれば買いです。ただ普通に考えて、出ていってしまっているのであれば前のオーナー様が手放すことはありません。つまりトラブルもそのまま引き継ぐこととなります。マンションの場合は、騒音などあまり関係ないですが、アパートの場合には問題のある入居者がいることでそのアパート自体が問題物件になってしまいます。
「修繕費用がかかる」という理由は、資金に余裕があるのであれば、リフォームによって収益を上げる物件に変わる可能性が少しは残されています。しかし人間同士のトラブルはお金だけで解決するとは限りません。金銭というコストだけではなく、時間や精神的なコストもかかります。
また仮に問題のある入居者が出ていったとしても、もしかするとその物件がある地域にはトラブルを起こすタイプの人が多い。つまり地域性の問題といった場合もあります。そういった意味からも(4)の理由で売却された物件の購入は控えた方がよいでしょう。
中古物件市場の最近の傾向

新築のワンルームマンションを投資のために購入したものの、維持しきれなくなって手放すケースが増えています。ローンを支払うために、毎月5万円、10万円を自分の財布から出している人、いわゆる”持ち出し”がある人が今、たくさんいます。経年劣化で家賃が下がったら、さらに持ち出しが増え、「だったら、傷口が広かる前に売ってしまおう」と売却。数百万円の損を出してまでも手放すわけです。
新築でも中古でもワンルームマンション経営は収支がポイント。運用についての考えがなく、マイナス収支で買ってしまった人が失敗しています。ただしそういった物件を逆に購入する立場で考えれば、割安で購入できるということで狙い目ともいえます。
こうした事情は、登記簿謄本を見るとわかります。たとえば、頭金を多く入れている人はローン(残額)が少ないので、「利益が確定できたから売却するらしい」といった推測ができます。
また、どの銀行でローンを組んでいるのかも「抵当権者」の記載でわかるので、ローンの種類などから支払額を類推して「この人は持ち出しがい多いから売るらしい」といった想像も可能です。
さらにマンションの場合、不動産会社から重要事項調査報告書を取り寄せれば、修繕の履歴がわかります。他にも入居者に問題がある場合などは賃貸履歴で調べることができます。不動産は大きな買い物になりますので、不動産会社にまかせっきりにするのではなく、必ずご自身で足を運んで見ることも含め、事前にいろいろな角度から候補となっている物件を調べてください。
利回りだけで判断し、いざ購入してみたら賃貸として使用するには多額の費用をかけて修繕をしなくてはならないことを知り、頭を悩ませているオーナー様は少なくありません。マンション経営は価格や利回りといった、数字に惑わされないことが成功のポイントです。
さらにつけ加えると、マンションは持ち出しが原因で、アパートは購入後の修繕で失敗している人が多い傾向があります。
特に仲介で購入する場合には、買主の知識が試されています。仲介会社の場合、売主から買主に物件を引き渡すのが仕事ですからトラブルの処理はしてくれません。仲介会社で安い物件を購入したが、その後の運用で悩んでいる方もたくさんいます。結局、安く買うことがポイントでなく、収益をえることが目的ですから、その後の運用も考えないといけません。物件を買う人は、その後も自分で行わないといけません。
しかし、不動産会社が売主になり購入後のサポートをしっかり実施している会社もたくさんあります。このような会社の特徴は、提携金融機関のあっせんにより優遇金利が使えたり、購入後の賃貸管理・サポート体制も整っています。マンション経営運営の知識が無い方は、こういったサポートサービスを受けた方が無難です。
前の所有者がどういった理由で物件を手放してしまったのかをしっかりと調べる。その上で自分がその物件を購入した場合、前の所有者の失敗を引き継ぐことなく、どういった運用をしていけば収益を上げる物件に変えていくことができるのか? そして、購入後の運用も考えた運用計画をたてることが大事です。 皆様も物件を購入する際には、必ず購入後のシミュレーションを徹底的にした上で、購入されることをおすすめいたします。
最新ローンや融資についてのコラム
- >> 第30回 繰り上げ返済で定年までにローンを返済し、不動産投資を成功させる!
- >> 第29回 物件購入前に個人の資産状況と目的に合わせた投資プランをしっかり確認
- >> 第28回 レバレッジの高さが魅力のマンション経営で注意すべき点
- >> 第27回 預金があっても融資で物件購入したほうが良い理由
- >> 第26回 マンション経営拡大のスピードを速める「キャッシュフロー」
- >> 第25回 物件が割高か割安かを知るには「表面利り」を使う
- >> 第24回 マンション経営で抑えておきたい金融機関との付き合い方
- >> 第23回 マンション経営の収益モデルは「売却」と「ローン返済」
- >> 第22回 法人だからこそできる不動産投資の節税法
- >> 第21回 収益物件を繰り上げ返済するなら、他物件への新たな投資の方が効率的
- >> 第20回 融資を受けて不動産を購入する場合のインフレ対策
- >> 第19回 マンション経営の重要指標「ROI」とは?
- >> 第18回 不動産の購入時に発生する諸費用と税金
- >> 第17回 相続税対策にも効果を発揮するマンション経営
- >> 第16回 マンション経営で必要なローンの基礎知識
- >> 第15回 中古マンション経営ではキャピタルゲインは狙わないのがコツ
- >> 第14回 年金VSマンション経営。老後の資金になるのはどっち?
- >> 第13回 不動産価格を左右するお金について知る
- >> 第12回 4つの投資スタイルを把握しマンション経営に臨む
- >> 第11回 ワンルームから得られる収益はいくらくらい?
- >> 第10回 マンション経営の融資について
- >> 第9回 不動産投資ローンは資産を手に入れるための手段
- >> 第8回 ワンルームマンション経営と不動産投資ローンの使い方
- >> 第7回 中古ワンルームマンション経営はレバレッジを意識
- >> 第6回 ワンルームマンション経営の計画とシミュレーション
- >> 第5回 中古ワンルームマンション経営が老後資金を賄う未来
- >> 第4回 マンション経営を「利り」で判断しない
- >> 第3回 マンション経営の融資を理解することが儲かるツボ
- >> 第2回 マンション経営でキャッシュフローをプラスにする再投資のやり方
- >> 第1回 レバレッジ