失敗事例その3~購入後に何もしていません~
相談内容

購入後に何もしていません。
マンション経営で何をしたらいいのか分からないまま、ほったらかしているのですが・・・
解答:マンション経営の成功は、帳簿をつけるところから
マンション経営、成功と失敗の分岐点は、帳簿付けと改善
マンション経営を成功させるためには、どのエリアのどの物件を購入するかという購入戦略をしっかりと建てることは大変に重要なポイントです。
しかしそれ以上に重要なポイントがあります。それは「購入後に行動を起こしているか、どうか」です。より確実に収益を上げていくには、購入してからどういったアクションをしていくかが成功と失敗を分ける分岐点となります。収益改善や物件の品質改善などをワンルームマンション購入後に行うことで、キッシュフローが増えていきます。
マンション経営は株や債券を購入して値上がりを期待する、いわゆる一般的な「投資」と同じように考えて始めるオーナー様も多いようです。しかし実際はそういった「投資」とは大きく異なります。マンション経営は「賃貸業」であり「オーナー業」、「大家業」と呼ばれるように「投資」よりも文字通り「経営」と考えた方が間違いありません。

「投資」と「経営」の一番の違いは、購入したら後は値が上がるのを黙って待つのではなく、オーナー様、自らが利益を上げるために継続的な取り組みをしなくてはならないということです。ワンルームマンションを活用して経営判断を行うわけですが、そのアクションを起こす上で最も必要なものが帳簿付けです。改善の根拠は、数字の分析が基本だからです。今回はマンション経営を成功に導くためになくてはならない帳簿の重要性についてご紹介していきます。
解答:マンション経営を経営と考える上で最初に必要なことは目標を決めること、目標に近づいているかを判断するのが帳簿
ではここから具体的にマンション経営を投資ではなく、経営と考えていく上で必要なポイントについてご紹介していきます。前項で示したように最初に必ずやらなければいけないことは帳簿をつけることです。
私はマンション経営が上手くいかずに悩んでいる方に、必ずお聞きすることがあります。それが「帳簿」をつけているかどうかです。

ほとんどの方は「いや、つけています」とお答えになります。ところがよくよく伺ってみると、つけているのは確定申告のみという場合が多く、いわゆる「損益計算書」、「貸借対照表」、「キャッシュフロー計算書」といった会社経営でいうところの財務諸表3表をつけている方は皆無といっても過言ではありません。失敗している方は、いわゆるどんぶり勘定で改善点が見つからずに右往左往している現実もあります。
確定申告書も帳簿には違いありませんし大切な情報です。ただ確定申告書では収益やコストを計ったり、資産の増減をみることはできません。出納帳も現金の出入りを把握するだけで、分析をするものではありません。これでは儲かっているのか損をしているのかもわからず、最終的に物件を売却していいかどうかもわからなくなってしまうのです。マンション経営は、売却することで本当の利益が確定します。売却した時にいくら得したのかわからないのでは、何のために頑張っているかわからなくなります。

サラリーマンや経営者の方であればおわかりになると思いますが、帳簿をつけていない会社はありません。帳簿をつけてお金の流れを把握し、それをもとに事業計画を策定するように、マンション経営においてもまずは帳簿をつけることが、継続的に利益を上げるための必須条件なのです。そして、オーナー様はある意味経営者なので、判断のよりどころが帳簿になります。逆にいうとこれを付けていないと経営判断ができずに失敗するリスクが高まります。
マンション経営で必要な帳簿は2種類!
それは、「個人資産」と「一部屋ごとの帳簿」
マンション経営では会社のように「損益計算書」、「貸借対照表」、「キャッシュフロー計算書」といった帳簿は必要ありません。必要な帳簿は以下の二つです。
一つは「どれだけ利益を出しているかを把握するため」の資産管理の帳簿です。マンション経営は20年、30年と長丁場の事業です。利益がどれだけ出ているかを把握することは、モチベーションの維持のためにも欠かせません。そして、マンション経営は毎年得た収益を再投資することで複利的な運用にすることができます。その効果を図るためにも必要なツールになります。逆に再投資することなく毎年の収益を得ているオーナー様は、非常にもったいないです。経営資源は、ヒト・モノ・カネといわれていますが、マンション経営の場合、立地・設備・カネ・情報・時間といった感じになります。時間を有効に使うことは成功と失敗を分ける大きな要素になります。
そして、再投資をどのくらいできるかを知っておくことが大事です。マンション経営以外の貯金や保険なども含めた自分の資産全体のキャッシュフローを、一目で分かるようにすることもポイントです。
二つ目は「一部屋ごとの利益を把握するため」の帳簿です。これは物件の売却ライン確定に必要です。所有物件が2件、3件と増やしていこうとなった際に、帳簿をつけていないとそれぞれが儲かっているか否かがはっきりしません。つまり次の一手を打つ時の判断材料を、勘に頼らざるを得なくなってしまうということです。
また、マンションは経年劣化が進むことで、家賃の下落やリフォームが必要になったりします。オーナー様の一番の仕事は、このような問題に対処することです。その経営判断の材料が「一部屋ごとの利益を把握するため」の帳簿になります。
所有している物件にリフォームなどの手間をかけていくと、費用が色々とかさんできます。その代わりにリターンも増えてきます。同様に繰り上げ返済をすると支出が増えます。その代わり収入も増えていきます。では最終的にいくら儲かったのか?収入と支出の履歴をつけていればトータルの損益はすぐに分かります。つまりいざ売却する時に、いくらで売却すれば黒字になるかがわかるため、勘に頼らない合理的な判断ができるようになるのです。
マンション経営は買ってから売るまででひとくくりとなります。売却した時に初めて利益が確定します。それまでは仮に利益が出ていても確定していませんから「含み益」、「含み損」となります。これらの事柄を常に把握し、売却する時に一目で分かるようにしておくことが帳簿をつける一番の目的となります。
帳簿は「最終的にこうなりたい」という目標を
具現化するための必須アイテム

マンション経営を始めるに当たり最初に決めることは、目標です。この目標で、購入する物件の種類や運用する金額が決まります。そして、目標に近づくために運用するのが帳簿です。
帳簿をつけることでお金の動きを把握できるようになり、目標に近づいているかがわかります。最終的にどうなりたいかが見えてくれば、そのために今やらなければならない短期的な目標。さらに5年後、10年後のためにやるべき中長期の目標も見えてきます。これらの目標を達成するためにしっかりと帳簿をつけていくことが重要なのです。
オーナー様の基本的な目標は、資産やキャッシュフローを増やすことです。そのための目標管理を行うのが資産管理の帳簿です。そして目標を達成するために行ったアクションや物件の利益を記すのが、一部屋ごとの利益を管理する帳簿です。
具体的な目標を立て、資産管理の帳簿で管理しつつ、実際のアクションによって得たノウハウを一部屋ごとの利益を管理する帳簿によって数字として把握する。これを軌道修正しつつ繰り返していくことが、オーナー様のノウハウになり地道ながらもマンション経営を成功に導くより確実な手段といえます。
マンション経営が失敗する理由はオーナー様だけの問題ではない
私の会社では年間100回ほどのセミナーを行っています。そこで数多くの方からさまざまな相談をお受けします。そこでわかってきたのが、上手くいっていないオーナーさんほどマンション経営を「経営」ではなく「投資」として考えてしまっているということです。
ただこのような考えを持ち失敗してしまうのは、必ずしもオーナー様だけの問題という訳ではありません。実はマンション経営をする上で参考にするべく指南本やハウツー本などが「買うことばかり」にフォーカスしたものがほとんどなのです。またインターネットなどで得られる情報も同じように「買うこと」が中心になっているものが多いようです。
有利な条件で物件を買うことばかりの情報が氾濫していて、購入した物件をどのように運用していくのかを理解していないオーナー様が非常に多い現状です。それは、不動産の取引上 ポータルサイトの業者さんがほとんど仲介業者のために起こっていることがほとんどです。なぜなら、仲介業者さんは、物件を売主から買主に引き渡すことが仕事で、購入後の運用相談にはのってくれないからです。

もちろん成功しているオーナー様も多くいる訳ですから、やはり失敗するオーナー様が勉強不足であることは否めません。しかし上述したように「売ること」だけにフォーカスしている不動産会社が多いことも、マンション経営に失敗するオーナー様が生まれる理由の一つであることは間違いありません。
オーナー様は、物件を買うことが目的ではありません。物件はあくまでツールで、目標に決めた安定した家賃収入を得ることがゴールです。つまり、購入より運用の方が大事なのです。
目先の利益ばかりを追い求め、売った後は「勝手にやってください」とほったらかしにしてしまう不動産会社が多いことは本当に嘆かわしいことです。しかしまだ遅くはありません。マンション経営の特性を理解し、信頼できる不動産会社を見つけることができれば成功に近づくことができます。
マンション経営は、一人で行うと高い専門性を必要とします。一棟物件のオーナー様ともなれば、ローンアレンジ・建物管理・賃貸管理・リフォームから資金計画までとにかく多岐に渡ります。ワンルームマンションのオーナー様は、手間ひまかけずにやっている方は多いですが、多少の知識は必要です。その知識がない方は、周りに相談できる方を作ることが大切です。安心して相談できる業者を見つけることも重要なポイントです。