
上昇率では商業地は台東区に軍配
東京都は、国土交通省の公示地価発表と同時に東京都の公示地価の動向のリリースを出しています。http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2019/03/20/05.html
国土交通省が19日発表した2019年の公示地価(1月1日時点)で、東京都内の全用途は平均で前年より4.2%上昇し、地価上昇は6年連続、前年より上げ幅は0.8ポイント広がりました。

東京の商業地で上昇率1位は雷門からわずか80mしか離れていない場所
商業地では台東区の浅草地区が軒並み上昇率上位に入るなど、外国人観光客の増加が地価を押し上げる要因となりました。住宅地では23区のうち荒川区が上昇率のトップでした。それぞれの動向を東京都では以下のようにみています。
商業地
- 区部の商業地においては、良好な経済状況に加え、インバウンド需要は高位で推移しており、店舗賃料は堅調に推移している。
- 都心部のオフィス空室率は低水準となっており、賃料は上昇を続けている。
- 都心部を中心に建替えや再開発事業が進捗しており、地域の地価上昇の要因となっている。
住宅地
- 雇用情勢の改善が続く中、低金利環境が継続していることもあり、実需層の住宅取得意欲は堅調である。
- 利便性や割安感による積極的な需要から、荒川区、台東区、北区など、北部の区を中心に高い上昇率となっている。
- 多摩地区では、住宅地としてブランド力のある地域、区画整理事業や駅前整備等の進展が見られる地域などで根強い需要がみられるものの、利便性に劣るバス便地域や傾斜地を造成した旧来の住宅地は人気が低く、需要が停滞している。
地価上昇のトレンドにも変化が出ています。これまでは都心3区(千代田、中央、港)を中心に地価が上がっていた銀座や、人気エリアの渋谷などは依然として需要は強いものの、地価が高騰しています。商業地の最高価格は、東京・中央区銀座にある「山野楽器銀座本店」で、1あたり5,720万円でした。都心3区は、供給が少なくなっていることもあり、幅広い地域に食指が伸びているとも言えるのではないでしょうか。
住宅地の23区別の上昇率トップは荒川区
住宅地の上昇率は東京都全体では2.9%と、前年より0.5ポイント上昇しました。上位10地点には赤羽など北区から2地点が入り、足立区の北千住も入った。区別の上昇率トップは荒川の8.6%。台東(7.2%)、北(7.1%)が続き、いずれの区も上昇率は前年よりも大きくなっています。
特に日暮里・舎人ライナーなど荒川区も交通の利便性があがったことも要因のようです。交通機関は地価に影響を与えるようなのは確実なようで、投資で物件などを選定する場合には、今後も職住隣接が進めば、東京の「交通機関」は注目すべきポイントでしょう。
商業地の上昇率トップは浅草がある台東区
商業地は6.8%の上昇で、前年より上昇率は1.4ポイント。上昇率上位10位内に台東区の浅草地区から4地点が入りました。34.7%上昇で首位となった浅草1丁目は大通り沿いで雷門に近く、飲食店が多く集まる中心地。他の3地点も人通りの多い道路沿いで、浅草駅や浅草寺に近いところです。
背景には「インバウンド需要」があります。日本らしい東京の観光地といえば浅草。その浅草は訪日外国人の絶大な人気に支えられ、一層観光客が増加しています。そのため物販や宿泊の需要も強まり、大手小売各社、ホテル業界は浅草に相次ぎ出店計画をしたため地価を押し上げました。
浅草は一度に広い土地がでないものの、銀座や渋谷など高い地価を誇る都心3区より各社工夫してでもインバウンド需要に呼応し、浅草に出店攻勢をしているのでしょう。インバウンド需要、観光地というのも目が離せません。