住まいのない若者が実は多数存在している事実
- 2019/5/18
- ニュース
「ホームレス」は減少しているが、「住居喪失者」は増加している
2019年4月26日に厚生労働省から発表された「ホームレスの実態に関する全国調査(概数調査)結果」によると、
確認されたホームレスの方の人数は、4,555人で、前年度と比べて422人減少しました。
そのうち東京都では1,126人で、東京都23区及び指定都市で全国のホームレス数の約4分の3を占めています。
さらに、ホームレスが確認された場所は
- 都市公園 7%
- 河川 3%
- 道路 8%
- 駅舎 2%
- その他施設 1%
ということです。 https://www.mhlw.go.jp/content/12003000/000505478.pdf
西暦2000年前後では20,000人以上いたホームレスの方も現在では全国で5,000人を切っています。
都内の「住居喪失者」は倍増
一方、昨年2018年1月に東京都内において、インターネットカフェ・漫画喫茶等の昼夜滞在可能な店舗で寝泊りしながら不安定就労に従事する「住居喪失不安定就労者」等の実態を明らかにするため、店舗や店舗利用者に対し、調査を実施した結果もあります。http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2018/01/26/documents/14_01.pdf
それによると、
住居喪失不安定就労者数の推計値として発表されている数値が、オールナイトで施設を利用していた方の概数約15,300人のうち、インターネットカフェ等をオールナイト利用する「住居喪失者」は東京都全体で1日あたり約4,000人(オールナイト利用者に占める構成比25.8%)、そのうち「住居喪失不安定就労者」は約3,000人(住居喪失者に占める構成比75.8%)と推計される。
とのことです。
「ホームレス数」は減少傾向の1,126人、「住居喪失者」は4,000人
上記結果によると、東京都のホームレス数は1,126人に対し、住居喪失者はおよそ4,000人という”ホームレス”という定まった住居を持たない人の定義ではその数は路上生活者数と比べ大きくかけ離れているのが実状です。
調査客体の定義が「ホームレス」や「住居喪失者」によって相違するために起こった
2002年に制定されたホームレス自立支援法によると、「ホームレス」とは「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」と定義されており、一言で言うと屋外で寝ている人のみが「ホームレス」として扱われる。近年の「ホームレス」の平均年齢は60歳を超えており、生活保護を申請することで屋外の生活から抜け出している人が多いと見られています。
その一方で、東京都は昨年1月、都内の「住居喪失者」は約4000人と推定されるという調査結果を発表しでいますが、ここで言う「住居喪失者」とはネットカフェ、漫画喫茶、サウナ、カプセルホテルなどをオールナイト利用している人のうち、住居を喪失しているか、喪失するおそれがあると見られる人と定義されており、逆にホームレス自立支援法によるところの屋外で暮らしている人は含まれていないのです。
都内の住居喪失者は倍増
実は東京都が行った住居喪失者の調査と同様の調査を厚生労働省が2007年に実施しており「住居喪失不安定就労者等の実態に関する調査報告書 (https://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/08/dl/h0828-1n.pdf )その結果によると、
「住居喪失者」は全国で約5400人(※常連的利用者)で、そのうち東京23区内では約2000人
と推定されています。
ついては、東京都内の「住居喪失者」は増加しています。
ちなみに東京都の昨年の調査によると「住居喪失者」で一番多い年代は30代で38.5%。20代(12.3%)を合わせると、若年層が全体の半分を占めており、屋外で暮らす「ホームレス」に比べまだ屋根のあるところにいる「住居喪失者」は比較的年齢層が低いと言えます。この「住宅喪失者」は路上で寝泊まりしていることもあり、頻度は「週に1~2日程度」が57.2%で最も多く、「月に1~2日程度」(22.0%)が続き、いわゆる「ホームレス」数では表れない「住まいがない」若者が多くなっているのだろう。さらに1か月の収入状況は、「11~15万円」が最も多い(46.8%)ため、近年格安で一夜を過ごせるインターネットカフェなどで過ごすことも多いのでしょう。
これは都心地域にあったもともとの木造賃貸の低価格帯のアパート物件がワンルームマンションへと建て替えになり、低価格の家賃物件が減少していることにも関連しているだろう。
一方、アマゾンやスターバックスなどの大企業が本拠を構えるシアトルでは、ホームレス増加と住宅難の問題に対処するための新税の導入を検討しているという。
従業員1人の1時間当たりの就業に26セント課すことを想定。年間の合計額では全ての正規従業員にとって1人当たり約540ドル(約5万8860円)となる。新税で得られる財源は年間7500万ドルで、4分の3は適正な売却価格の住宅建設に、残りはホームレス用の保護施設整備などに充てられるという。
この課税案を提案した市議によると、実現した場合、影響を受ける市内の企業主は3%以下の約585社となる。市議会の資料によると、新税は2021年までに0・7%の給与支払い税に衣替えされ、7500万ドルの歳入となる。
シアトル市の経済は好況で、住宅市場も活況を呈している。ただ、住宅費の高騰はホームレス問題の主因ともなっている。住宅費の値上がりは長期の居住者以上に支払い能力がある住民が雇用を求めて流入してくるのが一因。手ごろな値段の住宅建設も遅れ気味となっている。
ホームレス発生の背景は地域によりさまざま。アメリカの事例でも取り入れられるところがあれば積極的に採用すべきだ。