
東京都は金融業を集積する「国際金融都市」の実現へ向けて、政府に国家戦略特区を活用した規制緩和を求めている。
外国人の在留資格要件を緩和したり、日本で働く外国人向けの生活支援を手厚くしたりすることで、金融分野の外国人起業家を呼び込みたいとしている。
小池知事は「国際金融都市構想」を政策課題としており、4月20日に政府主催の特区会議で要望を示した。IT(情報技術)と金融を融合したフィンテックや資産運用の分野で新サービスを生む狙いで、世界のリスクマネーを取り込み、日本と東京の発展に繋げたい考えだ。
この要望の1つ目は「在留資格の緩和」。
外国人が日本で起業する場合、「経営・管理」の在留資格が必要になる。現在は起業の6ヶ月前から準備作業に入れるが、これを早めて1年とするように求めている。
起業までの準備期間を長くに取ることができれば、共同事業者や投資家、取引先とも早い段階から連携でき、金融行政の情報も集めやすい。
2016年12月末時点で「経営・管理」の資格を持つ外国人は2万1877人おり、その半数近くである9242人は東京都。期間延長によって日本定着の可能性をさらに高める狙いがある。
要望の2つ目は「高度外国人材の認定要件の緩和」。
高度外国人材の資格認定はポイントで決まるため、都内に進出する外資系資産運用会社などで働く外国人へ特別加算するよう求めている。
高度人材の認定を受ければ、研究の仕事をしながら営利事業にも携われるなど、日本での活動範囲がさらに広がる。東京都では、事業立ち上げと生活支援をそろって進める考えだ。
高度外国人材の受け入れは政府も課題としており、2018年度からは外国人の在留資格手続きをオンライン化する予定。英語が通じる医療機関や、外国人子弟が通えるインターナショナルスクールなど生活環境の整備も急いでいる。
また、東京都は2020年度までに金融系外国企業を40社誘致する方針。海外からリスクマネーを呼び込み、企業への投資や個人への資金供給につなげる狙いで、フィンテック分野では送金・決済のほか、東京発の新サービス創出にも期待が高まっている。
誘致は外資系の資産運用会社もターゲット。2005~2007年は年7~9件進出していたが、近年では年3件程度にとどまっているため、リーマン・ショック前の水準に戻すことを目指している。
規制緩和が進めば、東京で生活する外国人はさらに増加し、彼らが居住する東京の住宅需要はさらに高まることが予想される。また、外国企業の誘致を見据え、マンションを購入する際のエリア選びも重要になってくるのではないだろうか。