金融庁幹部「都心3区とそれ以外で融資状況は異なる」

きらめくお金

超低金利と巨額の緩和マネーに刺激された影響で、不動産取引が活気づき、融資が伸びたのは経済活動が上向いたことの裏返しといえる。
しかし、地銀などの融資が不動産向けに偏重しすぎると財務の健全性を損なうリスクもあり、金融当局には不安の種となっているという。

2015年の税制改正で、相続税の課税対象が広がったことを機に、アパート融資は急増。
節税目的でアパートを建てるとはいえ、融資の返済原資である家賃収入は、人口が減るなかで過剰供給に伴えば落ち込んでいく。

建設請負業者が一定期間、家賃保証するのが一般的だが、空室率に応じて保証額が下がる契約になっている場合も多い為、注意が必要だ。
速いテンポで供給が増え続ければ、返済負担に苦しむ個人が増える恐れがあり、「節税効果以上に、融資の返済負担が重くなるような本末転倒のケースも増えかねない。」(金融庁幹部)

ノンバンクなどによる貸し出し競争の結果、審査基準を大幅に緩めているといった問題を指摘する声もある。
金融庁は、将来過疎などの影響で空室が増え、返済が滞るリスクなどを銀行が適切に借り手に伝えているかも調べる。
もっとも銀行側から見れば、アパート経営を始めるのは一定規模の土地を所有している人が多いため、その土地を担保にした融資の貸し倒れリスクは小さい。

日銀の黒田総裁が昨年12月の記者会見で「金融機関のリスク管理上の悪影響が懸念される状況にはなっていない」と話したのはそのためだ。

金融庁幹部は「東京では不動産向けといっても、千代田区・中央区・港区という都心3区と、それ以外で状況は異なる」と指摘しており、全国で地価が高騰したバブル期とは様相が異なるとみている。
東京でもエリアによって状況が違うため、信頼できる不動産会社から適切な情報を得る必要があるだろう。

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