
リクルート住まいカンパニーの調査によると、1都3県(東京、千葉、埼玉、神奈川)において、賃貸住宅に入居する人たちの通勤時間が短縮傾向になっている。2016年度、賃貸住宅を契約した人の平均通勤時間は40.5分で、過去3年間で最短となった。
また、通勤時間が「30分未満」という人たちの比率も、14年度の24.8%から16年度は29.5%に上昇。3割弱にまで増えてきている。また、世帯別の平均通勤時間を見てみるとファミリー(居住人数が「3人以上」)が45.2分、ひとり暮らしは37.6分だった。同社広報担当は、今回の調査から「賃貸住宅の契約者の間で都心回帰が起きている」と述べた。
不動産データ会社の東京カンテイによると、東京都内の分譲マンション賃料は弱含み傾向にあるという。賃料(1平方メートル当たり)は16年8月は3223円だったが、同年12月は3198円、17年8月は3131円となり、ゆるやかに下がってきている。
加えて、富士通総研主席研究員の米山秀隆氏は、通勤時間短縮の背景について「賃貸住宅は相続税対策などの影響による供給過剰で賃料が上げにくくなっている」とし、「立地が良い場所もあまり利便性に優れていない場所にも同じ家賃で住めるようになっている」と述べた。一方で、分譲マンションの価格は高くなり過ぎているため、「しばらく賃貸で住み続けようと考えている人もいるだろう」と話している。
リクルート住まいカンパニーの調査で更に1点、興味深いのは「住み替え時にお部屋決めで優先する順位はなにか」との質問に対し、「駅からの距離」 より「間取り」「設備」「内装」などを優先するという答えがあがったことだ。利便性が叫ばれる中、設備や内装が優れていたり自分好みのものであれば、入居の決め手になる。自分が所有する物件の退去が決まったところから、原状回復時にどんな施工・リフォームを行うのかを管理会社と相談し、退去後にすばやいく工事を行うことができれば、退去というマンション投資においてリスクされるタイミングも賃料アップの好機となりうる。