「独りの最期」遺品や財産どう処分? 財産管理人の現場 

誰にも看取られないで死ぬとは

東京都内の住宅街にある古い2階建てアパートの1Kで8月、男性(当時75)が亡くなっているのが見つかった。死後1カ月。異臭に気付いた近所の人の通報が発見のきっかけだった。男性はこの部屋で40年間、一人暮らしを続けていた。

新潟県で生まれた男性は7人兄弟の四男。中学を卒業後、高度成長期の集団就職の波に乗って上京し、イベント会場を設営する会社で勤め上げた。定年退職した後は、気ままな年金暮らし。弟(72)ら東京にいる親類とも行き来があったという。

数年前、病気で足を悪くし、一人では出歩けなくなったことが男性の孤立を深めた。弟は「『部屋が汚いから入らないでくれ』と言うので親族も会いに行く頻度がだんだんと減っていった」と話す。

遺族は荒れ果てた部屋の原状回復と遺品の整理に困り、専門の業者へ依頼。10月初旬、遺品整理業「キーパーズ」(東京・大田)の作業員4人が片付け作業にあたった。

作業員とともに部屋へ入ると鼻をついたのは強い臭気。部屋に散らばった昆虫の死骸とカーペットに出来た黒いシミが発見までの時の経過を物語る。空き缶や読んだ形跡がない新聞が積み重なり、長い間使われていなかったであろう流し台は調理器具で埋まっていた。

作業員はたんすの引き出しやカバンのポケットを一つ一つ確認し、遺族に引き渡すものがないかを入念にチェックした。作業員の中村太郎さん(45)は「遺族にしか分からない大事なものが隠れているかもしれない」。

作業の途中で中村さんが遺族に貴重品を入れた段ボール箱を見せる。生前はカメラが好きだった男性。家族旅行や兄弟の結婚式の様子をおさめた約10冊のアルバムが出てきた。「こんなにきれいな状態で残っているなんて。懐かしい」と遺族の顔が少しほころんだ。

約5時間で清掃が終わり、男性の死の痕跡は消えた。遺族は帰り際、「孤立死が増えているとは耳にしていたが、まさか身内がそうなるとはね」とつぶやいた。

最新の人口動向が示すもの

総務省の国勢調査や国立社会保障・人口問題研究所によると、65歳以上の高齢者で独居世帯の割合は1990年時点では男性が5.2%、女性が14.7%だった。それが2015年にはそれぞれ13.3%と21.1%に上昇。40年は男性20.8%、女性24.5%になると推計される。

今、身の回りにいる友人や家族たちが、年を取り、死を迎えるその時もそばにいてくれるだろうか。人と人の結びつきが薄れた現代社会。孤立死は誰にとっても身近な問題になっている。

相続財産管理人という役割の人

さらに、そうした中、遺言がなく、法定相続人もいない故人も多い。いわゆる天涯孤独の人。こうした人々の財産を清算する人々がいる。相続財産管理人というのだと。最高裁によると、選任数は2017年に初めて2万人を突破し、少子高齢化や50歳時未婚率の上昇が続く社会で存在感を増している。残された遺品や財産はどのように処分されるのか。「独りの最期」に寄り添う清算の現場を取材した様子もお伝えします。

18年8月、東京都内で事務所を営む50代の男性弁護士は、古い一軒家の前に立っていた。家庭裁判所から受任したのは80代女性の遺産の清算。この日は女性の財産の状況を確認するため、初めて自宅を訪れた。

玄関扉を開けると、目の前に立ちふさがったのは「ゴミの壁」。近所の人によると、女性は独身で統合失調症のため数年前から施設に入っていたという。家の中は床が見えないほど散らかっていたが、高級ブランド品の箱や、何度も海外旅行をした跡が残るパスポートも出てきた。

不動産は「そのままの状態」で売却するのがルールで、清掃はしない。だが、滞納した税金の督促状や証券会社の通知が見つかることもある。女性には成年後見人がいるため、預金通帳や土地の権利証は管理されていたが、未把握の財産がある可能性も残っていた。

男性弁護士は、ゴミ袋を開けて故人宛ての郵便物を探し、役所や近所に聞き込んで、受け取っていない年金や交際相手の有無まで念入りに調べた。

相続財産管理人は、債権者や自治体などの申し立てを受けた家庭裁判所から選任される。官報などを通じて相続人を探し債権者への返済や特別縁故者への分与を進め、残った財産を国庫に引き継ぐのが仕事だ。受任実績などを基に弁護士や司法書士などが選ばれる。

男性弁護士は16年以降、8人の故人と関わった。このうち7人が未婚で子供もいなかった。今回の事案では、女性と親族が眠る墓を別の共同墓地に移す役目も担当。霊園の記録では、墓には3体の遺骨が安置されているはずだったが、出てきた骨つぼは4つ。調べると性別不明の1歳前後の幼児の遺骨だった。真相は分からなかったが、4体の遺骨を共同墓地に移した。

来年2月には不動産や遺品を売却・処分し、残った財産を国庫に引き継ぐ。清算完了には通常1年以上かかり、割のいい仕事とは言いにくい。それでも男性弁護士は「故人の『歴史』に寄り添う意義ある仕事。生きた証しに敬意をもって向き合っている」と話す。

男性弁護士が過去に担当した案件では、家主が去った家に物が散乱し、万年床が敷かれたままのことも珍しくないが、例外もある。

都内で亡くなった60代男性は「『終活』が完璧だった」。自宅には数字が書かれた箱が整然と置かれ、「印鑑は何番」「通帳は何番」「死後に連絡を取ってほしい人」などと記されたメモが残っていた。男性は若い頃に東北地方から上京。仕事一筋で独身だった。墓の準備まで済ませていたが、遺言状だけがなかった。

高価な遺品は換金するのが一般的だが、別の選択をしたケースもある。ある80代女性の家から出てきた大量の着物。換金もできたが、故人が大の着物好きと知り、法定相続人ではない親族に引き取ってもらった。「懐かしい。こんなところにあったの」と親族は心から喜んでくれた。

家族に見守られ、静かに人生を閉じる臨終のイメージは今、大きく揺らいでいる。

清算の現場からは、去り際の身支度の大切さが伝わってきた。

背景には単身高齢者の増加や50歳時未婚率の上昇があるとみられる。内閣府によると、15年時点で65歳以上の一人暮らしは約592万人。40年には896万人に増えると予想されている。
国立社会保障・人口問題研究所によると、15年の50歳時未婚率は、男性が23.37%、女性が14.06%。男性の4人に1人、女性は7人に1人が「独り身」だ。

孤立死を防ぐためには、日常的に身近な人と会話を交わすなど、社会と接点を持ち続けることが重要だ。内閣府の「平成30年版高齢社会白書」によると、単身で暮らす55歳以上の人のうち、家族や友人と「ほとんど毎日会話する」と答えたのは54.3%。一方で「週に1回以下」とした人も19.6%に上った。

誰にも気付かれることなく死亡する「孤立死」。高齢者の単身世帯の増加に伴い、孤立死を生むリスクも高まる。職場を引退して親類、友人とも疎遠になり、いつの間にか都会の片隅で忘れられる――。ある高齢者の死の現場は、問題が多くの人の身に降りかかる可能性があることを改めて教えてくれました。

 

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