スルガ銀行「被害者補償」を検討
スルガショックと呼ばれる一連の事件の収束に向けて、ついに動きをみせました。今月20日、被害者に対して補償をすることがわかりました。
具体的には、シェアハウス所有者が土地と物件を手放し放棄することで、スルガ銀行が債権を放棄し、借金返済を免除するというものです。
「投資は自己責任」とは言いますが、当該の事件では、スルガ銀行による金融資産の改ざん等で身の丈を越える借り入れをしてしまった人が続出しました。中には、自分の年収の50倍もの融資を組んでしまった方もいるそうです。
融資条件が4.5%という高金利のため、返済にも行き詰まり、係争事件にまで発展しているケースも少なくありません。
そのため、スルガ銀行は不正融資をしてしまった責任を強く認め、被害者補償の観点から物件を手渡し放棄した所有者のみ、「物納により借金を棒引きにする」ことで、けりをつけようということです。
不動産投資を取り巻く環境を大きく変えたスルガ銀行による不正融資事件、通称「スルガショック」は、問題解決に向けて大きく進展を見せそうです。
今回のような被害を受けた消費者への救済措置は、不動産投資用ローンではほとんどありません。いかに今回のスルガ問題が世の中に与えた影響が大きかったのかが伺えます。
放棄後、物件はどうなる?
そもそも今回の「かぼちゃの馬車」を中心としたスルガ問題の根幹は、「身の丈以上のローンを組んだこと」ではなく、「収益性がない物件を高い金利で借りてしまったこと」です。実際に「かぼちゃの馬車」を購入してしまった方とお話しさせて頂く機会がありましたが、23区内のとある場所で、部屋数16戸、当初のサブリース家賃は月額91万円だったそうです。
ですが、今回の問題が発覚した後にふたを開けてみたら、空室や家賃下落などがあり月額30万円ほどになってしまったようです。たった5年程で、家賃が3分の1にまで下がってしまう収益物件とはいったいなんだったのでしょうか。
つまり、今回の物件放棄後にスルガ銀行へ渡るシェアハウスは「収益性が低く、売れない物件」なのです。スルガ銀行は一時的に物件を所有する形になるとは思いますが、将来的には多くが安い価格で市場に出回り、供給過多になることが十二分に予想されます。
供給過多になったエリアでは、家賃の下落競争が始まり、益々オーナーの収支を圧迫するという負の無限ループになるのです。
シェアハウスが多く建てられている場所は、東京都の中でも、武蔵野市などの西側及び足立区などの北部に集中しています。ということは、このような場所で物件を所有することは「リスク」にもなるのです。
不動産投資は長期間の運用ですので、購入するときに利回りだけをみるのではなく、周囲の環境や動向に気をつけていくことで、失敗のリスクを限りなく低減することができるのではないでしょうか。