
(公財)日本賃貸住宅管理協会は12月10日、心理的瑕疵物件(事故物件等)に係る重要事項説明についての調査結果を発表しました。2019年度上期(19年4~9月)の賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)と併せ会員に調査したものということです。
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対象となる住戸等の位置は、「当該住戸のみ」が最も高く約7割。エリア別にみても、「当該住戸のみ」が最も高く、自由回答では、「状況による」「事故のレベルや騒ぎの有無等を考慮し説明範囲を決める」「基本は当該住戸のみだが、亡くなり方や場所により対象範囲を広げる」などの意見が寄せられたそうです。
対象となる亡くなり方では、「室内で自殺」が74.6%。「室内で他殺」(64.9%)、「室内で病死・事故死」(59.7%)を上回り、室内で亡くなった場合は、状況を問わず、約6割が重要事項説明を行なうと回答しました。
告知期間は、「入居者1回入れ替え」が35.1%でトップ。自由回答では、「内容により期間を設定」「自殺は数回だが、他殺は半永久」「原則1回だが、認知度や入居期間により変更する場合あり」「弁護士に相談」などがみられ、地域によっては、仮に10年以上が経過しても風評が消えないことがあるなど、地域によってばらつきが大きいことも分かりました。
室内での入居者の自殺・他殺・孤独死等(死後1週間以上)が判明したきっかけは、全国では「家族からの連絡」がトップ(76.4%)でした。
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出典元;日管協短観:https://www.jpm.jp/marketdata/pdf/tankan22.pdf
賃貸サイト一覧を見ていると「心理的瑕疵あり」と言う記載が有る物件を目にしたことがあるかもしれません。
心理的瑕疵物件とは、一般的には「その部屋を借りたくないな」と思うような事を指します。
なので、例えばその物件自体には特に問題が無かったとしても周辺で「事件・事故・火災」などがあって、「嫌悪施設」がある、「指定暴力団などの事務所」があるといった場合にも「心理的瑕疵物件」としても扱われる事もあります。
不動産業者は一般的に、このような物件については事前告知をしなければなりません。
また、心理的瑕疵物件にというのは明確な基準は定まっていなく、上記でいう嫌悪施設とは、小学校や中学校等、清掃工場、葬儀場、火葬場、工場、遊戯施設、原子力発電所等、刑務所、産業廃棄物処理場など環境悪化や騒音・悪臭・大気汚染・土壌汚染などを誘発する施設の事を指しています。
因みに、小学校や中学校が入っているのは子供たちの遊ぶ声などを嫌がる人がいるからだと言われています。
このように心理的瑕疵物件の選定は基準は購入者や借り手の感覚による部分が大きいということです。
不動産業者が問題ないと考える事でも、人によっては生活に害を及ぼすと捉えることもあるため明確なルールを策定するのは難しいし、その条件があまりにも細かく、心理的瑕疵物件とは一般的な事故物件の背景にはこうした複雑な事情があるということも想像できます。
不動産オーナー様は心理的瑕疵物件になってしまった場合の対策をしっかり考える必要があります。
心理的瑕疵物件とはいえ、デメリットばかりではありません。その内容を気にしなければ、あえて借りようとする人もいるためです。メリット・デメリットの両面を知っておきましょう。
【メリット】
心理的瑕疵物件については、敷金・礼金や賃料を相場より大幅に引き下げざるを得ません。
そのため、家賃の安さに魅力を感じて入居を求める借り主がいないわけではありません。
室内で死亡者が出たとしても、「一人暮らしだから気にしない」という人や「職業柄気にならない」と言う方も中にはいるのです。
東京の一等地になればそれなりの価格高額になってしまうため、それに比べ購入価格も低めですから、大きな利回りを期待できる場合もあります。
また、東京は人の入れ替えが多いため、いかに心理的瑕疵物件のイメージを払拭するかがポイントとなるでしょう。
これが地方の北海道、福岡、関東圏内でも神奈川、埼玉等だと払拭は難しでしょう。
【デメリット】
とはいえ、心理的瑕疵物件と聞き多くの入居希望者からは敬遠されてしまうのが現状です。。
せっかく物件を購入しても、借り手が全くつかないリスクは高くなります。そのため、安いからと言って安易に心理的瑕疵物件を購入するのはおすすめできません。
あえて投資するなら、できるだけ心理的に圧迫感を与えない物件を選び、自己資金を投入してリノベーションを実施するなど、収益性を向上させる方法はあります。
また、不動産投資は長期運用になりますので、ご所有物件が心理的瑕疵物件になってしまうケースも考えなければなりません。
不動産投資家として、できれば心理的瑕疵物件の購入を避けたいと考える人の方が圧倒的です。
しかし嫌悪施設が移動した、事故発生から時間が経過したなど、特に東京の都心部に関しては心理的瑕疵物件と言ってもそれほど嫌悪感は持たれにくいのではないかと判断できるケースもあります。
良質な物件を割安で入手できるかもしれない確率はかなり低いですが、今回ご説明したようなリスクや対応策について頭に入れておくことはよりあなたの不動産投資家としてスキルアップにつながるのではないでしょうか。