
4月施行の改正民法(債権法改正:法務省ホームページはこちら)を受け、大手銀行が融資の条件としてきた個人保証を見直す、ということを2020年1月13日の日本経済新聞の朝刊が伝えています。
日本経済新聞によりますと、
対象は個人が貸家を建てる際に利用するアパートローンで、4月からは法定相続人の連帯保証を原則なくす。債務者が返済に行き詰まると、保証人の生活への影響が大きいという問題があった。保証を前提とした融資の慣行を見直す契機となりそうだ。
法改正後は借金を肩代わりする可能性がある保証人になると、原則として公証人に引き受けの意思を示す必要がある。保証人の設定手続きが煩雑になるため、銀行が対応を検討している。三井住友銀行はアパートローンで法定相続人からの保証を原則取らない方針を決めた。三菱UFJ銀行も法定相続人などの保証を不要とする方針だ。みずほ銀行も同様の対応を検討し、一部の地方銀行も追随する可能性が高い。
とのことです。
2015年に相続税の課税が強化され、相続税の節税効果が高い一棟アパートの建設が急増しました。相続対策で高齢者が長期の事業資金を借りるケースが多くなっており、銀行は本人が亡くなった場合に備え、配偶者や子どもなど法定相続人に債務を引き継ぐことを融資の条件にしていました。
そうした背景もあり、アパートローンは銀行の競争が激しくなったのは言うまでもありません。そして2018年に起きたのが、スルガ銀行の不正融資問題をはじめとした不正行為の蔓延。そのほかの銀行でもアパートローンは、担保割れでも個人保証に頼れるため、審査が甘くなっていた銀行もあります。
今後、アパートローンは個人保証がなくなる分、地方銀行を含めて一部の融資では審査が厳しくなるとみられています。さらに、融資時の金利が高くなったりする可能性もあります。