
すでにこのサイトでも紹介しましたが、(「既存のダムを有効活用して大雨への備えを強化する施策を検討」もご覧ください)治水対策の一つとして、国土交通省は、ダムの事前放流をしやすくする制度を始めます。
河川の下流の治水対策として氾濫や堤防の決壊を防ぐための「事前放流」をしやすく
昨年の秋の台風による洪水が記憶に新しいところですが、ここ近年水害が多く起こっています。そこで国土交通省は2020年度中に、台風や豪雨の前にダムの水位を下げておく「事前放流」をしやすくする新制度を始めるということです。
ただし、多目的なダムの場合、発電や、水道水として利用されているためのダムもあることから、事前放流後に発電や水道などに必要な水量を確保できなくなった場合に、それに伴う利水権者の損失を補償すことにしました。
これは、ダムの事前放流を効果的に行い、既存ダムの貯水力を高めて下流の河川の氾濫や堤防の決壊を防ぐのが狙いだということです。
※事前放流…台風や豪雨によってダムの下流で洪水の危険が予想された際、本来なら発電や水道などで使う水の容量の一部を放流し、事前に水位を下げる操作
河川の増水時に緊急放流すると氾濫につながる恐れがあるが、2019年10月の台風19号でも6カ所のダムのうち、水沼ダム(茨城県北茨城市)や城山ダム(相模原市)など4カ所は事前放流をしていなく、ダムの貯水量が限界に近づき緊急放流をすることになった過去もあります。
放流をしたあとに、荒天後に想定の水量が得られないときには発電会社にとって不利益
洪水での被害のほうが大変…国土交通省も治水に力をいれる
背景には、事前放流の実施にはダムの建設費の一部を負担した電力会社や水道事業者など利水権者の合意が必要となり、利水権者の合意が得られなかったり調整に時間がかかることがあります。というのも、事前放流を行った後に、天気によっては、ダムに流れ込む水量が少なければ、発電や農業、生活用水に使う水を確保できなくなるため、できるものなら放流を行わずできないか、と考えてしまうということがあるからです。
国交省によりますと、国内で稼働しているダムは1460カ所あり、貯水容量は約180億トン。ただ発電や農業のための貯水が多く、洪水を防ぐために空けておくなど治水に使える容量は約3割にとどまっています。治水のためにも、国交省は事前放流をしやすくすることで貯水ダムも有効活用することで、「治水機能」を強化したいとしています。そして事前放流への合意を得やすくするため、事前放流後に利水権者に損失が出た場合、金銭で補償する新制度を創設するということです。補償対象の放流量や金額の上限などは今後検討し、2020年夏ごろに運用を始める方針だということです。
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