空き家となった実家、賃貸という使い道で相続税対策にも

空き家率

住む人のいなくなった実家、思い出が詰まった家は簡単には手放せないが、その使い道として一つの回答がある。それは、「賃貸」で収益を出すことだ。
親世代、もしくはその前から大切に使われていた実家なら、たとえ今は実家を離れ一人暮らしをしている人でも「いずれ自分が住むことになるかもしれない」という思いがあるだろう。

そんな中、父が亡くなり、母は介護施設へと入ってしまったとなると、家の手入れをする者がいなくなり急速に家が傷む。わざわざ実家へ赴き手入れをするだけでも大変な手間となり、空き家管理業者に頼むと金銭的に負担が大きくなってしまう。 防災や防犯の観点からも空き家の増加が懸念されている今、賃貸として利用しようとする動きを支援する機構なども活発である。

大手住宅メーカーや金融機関の協賛で運営する住みかえ支援機構では、50歳以上の中高年の持ち家で一定の耐震性があるものを最長で終身に渡って借り上げ、子育て世帯などに転貸し、賃料収入も保証するという形式をとっている。入居者が一度決まれば空室になっても保証家賃が支払われ、万一の資金不足に備え国の基金による保証も備える仕組みなのだ。
そして、3年で契約が終わる定期借家契約を活用することで、家の持ち主は戻ることも、再契約でさらに貸すかという選択肢を持てることになる。

賃料は相場より1~2割安く設定することになるが、持ち主の手取りはここから15%差し引いた金額で、10万円の賃料だとすれば8万5千円(15%のうち10%は家賃保証の積立金、5%は提携不動産会社の管理料)。また、必要な範囲で持ち主負担によるリフォームも必要だ。

また、郊外にある実家では借り手が見つかりにくいリスクもあるが、空室時の保証などの仕組みが充実していることで、大きく不安を感じることなく貸せるというメリットも大きい。
この他にも、首都圏で始まった空き家を借り上げ転貸するサービスでは、「持ち主が改修費を負担しなくていいかわりに、得られる賃料は物件に課される固定資産税、都市計画税と同額分だけ」という特徴を持っている。

長い歴史を持つ家の場合改修費が200万~300万円前後かかることもあり、賃料収入が欲しいというよりは、税負担・管理費などのマイナスを補いたいという人に適した仕組みになっている。
貸家は空き家より土地などの資産評価額が下がり、相続税の節税対策にもなる。住む予定がない実家の相続を放棄する人もいるが、空き家問題に拍車をかけることに繋がる。昨年5月に全面施行した空き家対策特別措置法により“倒壊の危険などがある空き家”に指定されてしまうと固定資産税が最大で6倍に増えることもあるため、しっかりと考えて行動する必要がある。

空き家の使い道としての賃貸では支援機構などを利用することで少ない負担で運用できる。マンション経営においては物件購入から管理業務まで請け負う会社も多くなっている。空き家の活用としても、将来の資産形成の為にも、信頼できる協力者を見つけることが大切だ。

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