丸の内・銀座に好アクセスな兜町 職住接近志向にピッタリな街

茅場町

兜町の人口は、10年前に比べて4割増。世帯数も増加

生まれ変わりを目指す兜町

兜町の人口はじわりと増えています。2020年4月1日時点で550世帯、727人が住み、人口は過去3年で9%増えています。過去10年で見ると実に4割の増加です。

これは東京のビジネスセンターの大手町や、丸の内まで地下鉄で2駅ほど、日本橋かいわいも徒歩圏内にある「職住近接」の好立地からマンション建設が進んだためです。兜町周辺には散策に適した場所も多く、北東には明治座や甘酒横丁を有する人形町エリアがあり、中央区内最大の公園である浜町公園もあります。花火大会で有名な隅田川の岸辺を舗装した「隅田川テラス」は都心部では珍しい広大な青空の下でジョギングや散歩を楽しむ人も多いです。北西方向には三越や高島屋のほか、「コレド室町」や「コレド日本橋」などの商業施設があります。日本橋エリアだけでなく、有楽町や銀座へのアクセスも良好で、意外にも住みやすい街なのです。

 

再開発の狙いは?

兜町かいわいで4割の地権をもつ平和不動産は、兜町の周辺約10万平方メートルの地域を10年以上かけて再開発する大型プロジェクトを2014年に持ち出しました。土本清幸社長は「かつての証券マンだけの単色のにぎわいではなく、多様なジャンルの人々が交わる色合いのある街にしたい」と語ります。平和不動産が力を入れるのが、金融分野の新技術に強みを持つフィンテック関連のスタートアップの誘致です。2018年7月には東証からほど近いビルの地下にオフィス「FinGATE BASE」を開業しました。6区画に分けられた部屋には、資産運用やフィンテックのスタートアップが入居しています。

 

歴史的建造物の内部をリノベーション

平和不動産は再開発にあたり、兜町周辺のビジネスパーソンだけでなく、兜町以外からも人を呼び込むことで、賑わいの創出を図ります。もとは渋沢栄一氏が創設した旧第一国立銀行の業務を継承した旧第一銀行の別館として、1923年に竣工した歴史的建造物である「K5」は、再開発に際して躯体に耐震工事を施して補強し、重厚な外観を生かしながら内部をリノベーションしました。1階や地下にはクラフトビールメーカーの米ブルックリン・ブルワリー社が世界で初めて出店するビアホールとカフェ・レストランを設けたほか、2階~4階には全20室のホテルが入居予定です。

 

豊富なノウハウが入居の決め手に

ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメントから独立し、sustenキャピタル・マネジメントを創業した岡野大最高経営責任者(CEO)は「平和不動産が持つ金融に関する豊富なノウハウが入居の決め手となった」と話します。スタートアップが金融商品取引業の許認可を取得する場合、手続きの煩雑さなどが障害になりますが、平和不動産は顧客の許認可取得のスケジュールに合わせてFinGATEに入居するタイミングを提案し、入居した後も提携先の日本資産運用基盤グループを紹介したり、オフィスに入居する他の企業と交流する機会を作るなど、支援体制を充実させています。

4月には、再開発の4つ目の拠点となる「FinGATE TERRACE」が開業しました。ビル1棟をまるごとリノベーションし、すでに10社以上の入居が内定しています。平和不動産の土本社長は「FinGATEシリーズの物件では、セキュリティー体制を強化しいていることもあり、入居企業が当局や顧客から信頼を獲得しやすくなる副次的な効果も生まれている」と語ります。

再開発進む兜町

今後の再開発の目玉になるのが、2021年7月に開業予定の「KABUTO ONE」です。SMBCフレンド証券(現SMBC日興証券)の本店が入居していたビルと周辺を再開発し、約150億円の資金を投じて地上15階、地下2階の大規模ビルを建設中で、既に金融情報会社のQUICKや、証券保管振替機構などの入居が決まっています。投資家向け広報(IR)説明会や株主総会などを開けるホール、金融に関する本を集めた図書館も設け、兜町の内外から訪れた多様な人が交わることを目的にしています。金融分野に必要な施設をそろえることで、国家戦略特区の認定を受ける狙いもあります。

 

兜町はこれからも需要が上がっていくことが予想される

最初に述べた通り兜町の人口はここ数年ずっと増加傾向にあります。都会には珍しい優れた景観の散策エリアがあることから最近はファミリ―層もじわじわと増えてきているため、今後更に住みやすい街へと変化することが予想されるでしょう。また、近年の「職住近接」の傾向から、サラリーマンにも注目されるエリアだといえます。再開発の影響も含め、兜町の今後に注目していきたい街です。

 

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