
今、単身世帯の高齢者の孤独死が増加傾向にあるということで、東京都監察医務院が発表した23区内での高齢者の孤独死者数は、10年前に比べ1000人超増えて3116人にまでなっている。
夏の時期には熱中症で亡くなる方が多いが、生活のあらゆることを放棄してしまう「セルフ・ネグレクト」という状態に陥ってしまった男性が、特に孤独死に至ってしまうケースが多い。
そんな中、「孤独死補償」を手掛ける保険会社の調査から、男性は女性よりも発見が遅く、病気がありながら医者にかかっていないケースがあるなど、孤独死の実態が浮かび上がってきた。
発見が遅くなりがちな高齢男性の孤独死だが、発見が遅くなるほどに部屋のクリーニング代が多くかかることも大きな問題だ。ある企業では、孤独死によって発生した部屋の清掃費や遺品の片付け費用を補償するサービスを開始。同社で支払い対象とした孤独死件数は2013年に133件、2014年は158件、2015年は180件と増加傾向が顕著であり、なんとその約8割が男性であった。
がんなどの病気にかかっていながらも通院の形跡がなかった例もあったが、金銭的困窮や社会からの孤立といった生活の厳しさの一端が伺える内容だ。
また、孤独死後の住居の原状回復にかかる費用では、平均で23万8548円、案件の中での最高額では200万円以上を求められたケースもあった。
現状の孤独死においては「地域の取り組み」が必要となり、“人の世話にはなりたくない”といったプライドの高い男性や”世話になるのは申し訳ない”といった遠慮や人間不信などによって地域との間に距離をつくってしまうことも問題視されている。
そのため、『孤独死予防へ接点づくり』ということで、地域ぐるみで「あいさつを交わす」、「地域の催し物を開催」、「介護者の集いなどで相談の場をつくる」などといった対策を進める動きも各地で見られている。
地域での取り組みや、時には行政の力を借りてでも介入し、孤立させない工夫などがされているが、孤独死は、不動産投資やマンション経営において無関係とはいかない問題だ。
金銭的余裕のない入居者や、高齢の入居者が孤独死に陥りやすいということで、少しでも『孤独死リスク』を避けることを考える必要があるのかも知れない。