スマートデイズ破綻、投資家救済のハードル高く

4月18日の日経新聞に掲載されていた、マンション経営オーナーにとっても気になる「かぼちゃの馬車」に関するニュースをご紹介したい。

女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」への投資トラブルの影響が広がってきた。
今年1月に止まったオーナーへのサブリース賃料支払いは、運営会社スマートデイズの経営破綻で難しい状態が続いている。

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スマート社に損害賠償請求をしたオーナーの代理人・加藤博太郎弁護士(東京)によると、スキームはこうだ。
年収1000万円の会社員であれば、土地・建物の代金は1億2000万円――。こんな具合に、物件の販売価格を年収に応じて無理なく融資が受けられる水準に定めていた。そのうえで、物件価格に対する利回りが8~9%になるよう家賃を機械的に設定し、高い利回りによる借り上げを投資家に約束していた。しかし、その水準は周辺の相場とはかけ離れたものだったという。
9200万円で土地・建物を買ったオーナーの例をみてみる。
加藤弁護士によると、登記簿などを見れば、業者の「原価」が浮かび上がるという。
土地代は約3000万円、部屋が10戸の建築費は約1600万円で、原価約4600万円の土地・建物を9200万円で販売していた状況が浮き彫りになった。差額の4600万円は、サブリースの赤字補填や、販売代理店・建築会社への「報奨金」(キックバック)の原資などに充てられていた上、スマート社と直接関係のない会社にも流れていた。
原価に諸費用や利益を上乗せして販売するのは商売として常識の事だが、問題はこの先にある。
この物件の例では、募集した賃料は共益費込みで3万4000円。10戸の満室家賃は毎月34万円となるが、スマート社がオーナーに約束したサブリース賃料は約69万円だった。35万もの差があっては、事業として成り立たないことは明白だ。
加藤弁護士は、かぼちゃの馬車について「破綻することが明白な詐欺的スキームだ」と言う。関係者らへの報奨金の原資を捻出するために、原価の2倍以上で物件を売っていた構図とみる。
現在、スルガ銀行は融資の実態を調査中で、返済を一時猶予している。金融庁が着手したスルガ銀行への緊急の立ち入り検査は、無理のある投資スキームを把握しながら銀行が販売に積極的に関与していたかどうかが焦点となる。審査を通りやすくするために、販売代理店などが所有者の年収や預貯金の残高を改ざんしていたこともすでに判明しており、金融庁はスルガ銀行の役員らが不正行為に関与していた可能性もあるとみている。
不良資産となったシェアハウスを抱えた所有者は、今後どうなるのか。
加藤弁護士によると、今回の投資スキームが詐欺行為で、銀行がそのことを知っていたり共謀関係にあったことなどが認定されたりした場合、融資契約は無効となり、融資が棒引きされるなどの救済策につながる可能性はあるそうだ。
その場合、土地・建物を銀行に渡し、残った借金が棒引きされる。ただ、実際に業者と銀行が共謀関係にあったかなどを認定するハードルは高いとの見方もある。
銀行が自発的に情状を酌量し、債権放棄する道もないとは言い切れないが、土地・建物を実勢価格で処分すれば、債権の多くを回収できないとの指摘もある。

マンション経営を行う上でも同様で、「高利回り」「家賃保証」ばかりに目を向けていると、その理由を見落としがちなので注意が必要だ。転売ではなく長期にわたってのインカムゲインが目的のマンション経営では、しっかりと長期間そのスキームで家賃収入を得ることが可能なのかどうかを見極める必要がある。その際、最新のマンション経営に関する情報を少しでも身につけていた方が良いのは言うまでもないところだろう。本サイト運営の和不動産セミナーでは、都心の築浅中古ワンルームマンションを活用したマンション経営をご紹介している。本やネットではいまいち理解できない人や、なかなか時間がないので集中した時間で深く理解したい人にはおススメしたい。また、併せて質疑応答や個別相談で、より詳細な疑問点などを解消すると、さらに判断する目は養われるだろう。

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