
5月14日の日経新聞に掲載されていた東京・中央区の人口増加に関する記事をご紹介したい。
2017年1月、55年ぶりに15万人を超えた東京都・中央区の人口は、1年4カ月で1万人増加。5月14日、59年ぶりに16万人を突破した。
中央区晴海地区では2020年の東京オリンピック後にマンションに転用される選手村が建設されるなど、人口は今後もさらに増える見込みだ。今夏にも住宅政策を転換して人口増を抑える方針だが、保育所などのインフラ整備が追いつかない状況は当面続きそうだ。
中央区の14日時点の人口は、住民基本台帳ベースで16万28人となっている。月600人程度のペースで増えており、年間約5%の伸び率だ。
これまで、中央区の人口は1950年代の約17万人をピークに減り続け、90年代には約7万人まで落ち込んでいた。人口回復策として、容積率の緩和をすることでマンションなどの住宅建設を後押し。その後は順調に増加に転じ、17年1月に15万人台まで回復していた。
人口増の主因は東京への一極集中と、それを背景にした活発なマンション建設だ。
不動産調査会社の東京カンテイによると、ここ数年、中央区では総戸数100戸未満の中小規模のマンションが約1000戸建設されている。さらに総戸数が数百戸規模のタワーマンションが建つと、供給戸数は一気に跳ね上がる。2015年と16年は、供給戸数が計3000戸を超えた。
晴海で建設中の東京オリンピック選手村の宿泊施設は、大会後に約5600戸のマンション群に転用される計画。2022~23年ごろから入居が始まる見通しで、1万人超が新たな住民となる見込みだ。
交通の利便性が高い中央区のマンション購入者は若い世代が多く、ファミリー層の流入により、区の出生数は年々増加が続いている。2006年に年間1042人だった出生数は、16年には2032人と倍増した。
出生数増加に伴い、中央区でも保育ニーズも急拡大している。保育所への入所者数と待機児童の数をあわせた保育ニーズ数を見てみると、2013年度の2980人から17年度には4596人と1.5倍に増えている。区は保育定員の拡大を急ぐが、追いついていない。13年度に200人弱だった待機児童は、15年度には100人強まで減ったものの、17年度には300人強まで増えている。
通勤の足となる交通網もパンクの恐れがある。例えば、タワーマンションが林立する都営地下鉄・大江戸線「勝どき駅」の乗降客数は、16年度に約10万人と10年間で4割増え、通勤ラッシュ時の駅ホームは乗客で埋め尽くされている。
中央区は今夏にもマンションなどの住宅建設に対する容積率の緩和を原則廃止する方針。
90年代の都心空洞化を受けて始めた住宅誘導政策を約20年ぶりに転換し、人口増のペースを鈍化させることが狙いだ。
中央区で容積率の緩和がなくなれば分譲できる戸数が少なくなって採算性が下がり、自然と供給数が減ると見込んでいる。特に影響が大きいのが中小規模のマンションと見られる。「用地取得でホテルの開発業者ら(容積率の緩和が続く)に競り負ける」(大手不動産幹部)事例が予想されるためだ。マンションの開発ペースは今後鈍る公算が大きい。
中央区の副区長は「予算規模からみて区の人口は20万人程度が適正規模だ」と、今後は人口を抑制する方針を示す。保育など、既に表面化している課題を克服しながら「適正規模」の人口に収められるのか。都心回帰の波に直面する中央区の悩みは当面続きそうだ。
中央区がすでに人口抑制対策に踏み出すとの記事だった。
このような流れから、住宅需要は期待され現在すでに中央区に建設されている物件の価値は、十分な人口から維持・向上していくことが予想される。中央区における収益不動産の取得は検討の価値がありそうだ。