エアビー、民泊予約解約 民泊予約各社の動きは

混沌とした民泊業界

6年8日の日経新聞に掲載されていたエアビーショックについての記事をご紹介したい。

世界最大手の民泊仲介・米エアビーアンドビーが、許認可などがない民泊施設の15日以降の予約を取り消した影響が広がっている。

観光庁がエアビーに聞き取ったところ、6月15日以降の予約の総数は6月30日までで4万件、年末までで15万件ある。その全てが取り消されるわけではないが、月内だけでも3万件超が解約となる恐れがある。

エアビーに掲載されていた国内施設には、年間で延べ580万人が泊まっている

ことの発端は15日に民泊新法が本格施行となる直前、観光庁が主だった仲介業者に出した通知だ。

15日以降は旅館業法の「簡易宿所」、国家戦略特区といった現行ルールの許認可、または新法に基づく届け出のない施設は仲介サイトに載せられなくなる。その上、既に入っていた予約もキャンセル対応をしなくてはならないという通達だった。

観光庁は6月1日、新法での届け出予定がないにも関わらず掲載されている施設の予約取り消しなどを通知で求めた。これまで許認可がない施設も仲介してきたエアビーは、通知を受け取った直後に動いた。

まず現行の許認可や新法での届けにより発行される番号の入力がないなど、違法の疑いがある施設を削除した。それにより、今春時点で約6万2千件あった国内施設は足元で約1万3800件と8割減。

6月15~30日の間で4万件ある予約の8割に影響が出るとすれば、3万件超が解約になる可能性がある。

エアビーは当初、既存の予約を取り消す考えは示していなかった。ところが7日夜、15~19日分の予約を突如キャンセルし、19日以降の予約も10日前に自動でキャンセルされる旨をホームページ上で通達し、オーナーサイドにもメールなどで通知した。

予約を取り消すことになる顧客には、宿泊代のほか代わりに取った宿の代金との差額分、航空券の変更手数料などを補償し、おわびの意味を込めて宿泊料と同額相当のクーポンも贈るとしており、これらに総額11億円を拠出すると表明している。エアビーが利用者へこのような補償をするのは、世界初のことだった。

エアビーで代わりの宿が見つからない場合に備え、JTBの訪日客向け予約サイトも紹介し、電話や電子メールの相談窓口も設けた。

民泊オーナーは「観光庁もエアビーも影響の大きさをどこまで理解していたのか。もっと早くから周知を徹底し、猶予期間も設けるべきだった」と憤るが、観光庁は年初より予約の取り消しを促していたという。

エアビーに掲載された国内施設に泊まった訪日客は、2018年2月までの1年間で延べ580万人。

エアビーでの予約可能件数が大きく減ったことで、宿泊施設の争奪戦が起きている。東京都豊島区で戸建て住宅を民泊用に貸す男性(60)のもとには予約の問い合わせが殺到している。

旅館業法に基づく「簡易宿所」の許可を得ており、現在もエアビーに載っているためだ。「宿が取れない。泊まらせてほしい」と訪日客からの相談が急増しており、既存のホテルや旅館にも顧客が流れる可能性が高い。新法での届け出件数も7日時点で約2000件と低調だ。民泊が低迷し続ければ訪日客数の伸びに水を差しかねない。

米エアビーは2013年に日本でサービスを始めて以来、国内の民泊市場で圧倒的なシェアを占めてきた。民泊の代名詞となり、掲載された国内施設数はそのまま日本の民泊数とまで言われてきた。

そのエアビーが違法の疑いがある施設の表示取りやめと予約取り消しに着手したことで、市場はいったんリセットされる。新規参入が増えた仲介サイトも、横一線での競争のスタートだ。

エアビーは許認可のない施設に新法での届け出を促したが、手続きは煩雑で受理に時間がかかる自治体が多い。規制を強化する上乗せ条例もあり、廃業を選ぶ個人オーナーが増えた。

6月に民泊仲介サイト「Vacation STAY」をスタートした楽天子会社の楽天ライフルステイ(東京・千代田)、農家民泊に力を入れる「STY JAPAN」を運営する百戦錬磨(仙台市)など、新たな仲介サイトは増えている。各社を軸に異業種が提携する企業連合ができており、サービスを競う。

現在、Vacation STAYに登録されている民泊総数は1754部屋となっている。新法での届け出件数が伸び悩むなか、民泊施設の確保は各社共通の課題となっており、民泊に限定せず、個性的なホテルや旅館などもサイトで扱おうとしている。

 

 

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