
日本に暮らす外国人が増えている。
7月11日に総務省が発表した人口動態調査によると、今年1月1日時点で前年比17万4000人増の249万7000人となり、過去最多を更新した。特に若い世代が多く、東京都では20歳代の10人に1人が外国人だった。
20歳代は74万8000人と同年代の日本の総人口の5.8%を占める。町村部でも増えており、日本社会を支える働き手としての存在感が年々高まっている。
ニッセイ基礎研究所の鈴木氏は「小売りなど人手不足の業界は外国人労働力で成り立っている」と指摘する。
全国のセブン―イレブン・ジャパンで働く外国人は全従業員の7%にあたる約3万5000人にのぼる。
5年前に比べて同区で20歳代の日本人は7%減ったが、外国人は48%増えており、20歳に限ると外国人の割合は4割を超える。
今回の調査で長崎県を除く46都道府県で外国人が増えている。全体では名古屋市の人口(約231万9000人)を上回る外国人が日本で暮らしていることになる。
厚生労働省によると、日本で働く外国人は17年10月末時点で約128万人。中国人が全体の3割を占めているものの、ベトナムやネパールから来た人も急増している。
経済協力開発機構(OECD)の調査によると、2016年の海外からの一時労働者の流入者数は約20万人で、イギリスやカナダを上回る。
政府は単純労働者を受け入れない立場を続けてきたが、学生や技能実習生という形で若い世代を中心に留流入しているのが実態だ。
政府は引き続き、金融など高度な知識を持った人材の受け入れに力を入れる一方、単純労働者にも事実上門戸を開く方針。2019年4月に新たな在留資格を設け、建設や農業、介護など5業種を対象に、25年までに50万人超の受け入れを目指す。
今は外国人の増加が日本の人口急減に歯止めをかけている格好だが、今後も外国人が日本で働くことを選び続けるとは限らず、新興国と他の先進国が人材を奪い合う構図が年々強まる公算が大きい。
日本に来る優秀な外国人を増やし、働いてもらうには、待遇を改善するなど「選ばれる国」にする努力が必要だ。
その一方、急増する外国人に治安面での不安を訴える声もある。
ある政府関係者は「孤立させず、日本語を話せるようにして、社会に取り込んでいくことが大事だ」と話す。
約2500人の外国人が住む神奈川県愛川町では町内の公立小中学校の5校で日本語学級を設置し、日本語が話せない子どもたちの教育支援に努めている。急増する外国人の受け入れの体制整備が欠かせない。