11月2日の日経新聞より、外国人労働者の受け入れに関する記事を紹介したい。
11月2日、政府は単純労働を含む外国人労働者の受け入れを拡大する出入国管理法改正案を閣議決定した。2019年4月より、人手不足が深刻な分野に新たな在留資格「特定技能」を創設する。一定の技能を持つ外国人が対象となる。
経済界からの要望に応じる形で、これまで認めてこなかった単純労働受け入れにカジを切った。
これは日本の入国管理政策の大きな転換で、政府与党は今国会での成立を目指す。与党内の慎重論に配慮し、施行3年後に制度を見直すとしている。山下法相は2日の閣議後の記者会見で「人手不足が深刻で、今回の法改正は重要かつ急務だ。成立に向け丁寧にご説明したい」と述べた。
野党は「移民政策ではない」とする政府の姿勢を疑問視しており、国会で激しい論戦となりそうだ。
入管法改正案は、新たな在留資格「特定技能」を2段階で設ける。
「相当程度の知識または経験を要する技能」を持つ外国人に就労可能な「特定技能1号」を与える。最長5年の技能実習を修了するか、技能と日本語能力の試験に合格すれば資格を得られ、在留期間は通算5年、家族の帯同は認めない。
さらに高度な試験に合格し、熟練した技能を持つ人には「特定技能2号」の資格を与える。1~3年ごとなどの期間更新が可能で、更新回数に制限は設けない。配偶者や子どもなどの家族も帯同でき、更新時の審査を通過すれば長期の就労も可能だ。10年の滞在で永住権の取得要件の1つを満たし、将来の永住にも道が開ける。
受け入れ先機関にも雇用契約で一定の基準を満たす必要がある。直接雇用を原則とし、日本人と同等以上の報酬を支払うことが原則だが、分野に応じて例外的に派遣も認める。
生活や仕事の支援計画を作り、日本社会に馴染めるよう後押しする。政府は年内にも日本語教育など環境整備の具体策を盛り込む「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策(仮称)」をまとめる。
受け入れは生産性向上や女性、高齢者など日本人の労働者を確保する努力をしても人材が足りない分野に限定され、具体的には1号では農業や介護、建設、造船、宿泊など14業種を想定している。
なし崩し的な受け入れを防ぐため人材が確保されれば受け入れを停止する措置を盛り込み施行3年後に制度を見直す。景気の悪化も想定し、国内の働き手を前提とした補助的な受け入れにとどめる。
ただ、政府がこれまでかたくなに規制してきた外国人の単純労働を受け入れることで、社会に大きな変化が生じる可能性があるため、与野党双方に慎重論は残っている。施行3年後の見直し条項も自民党が法案を了承する際の前提として提起したものだ。
どこまで受け入れ規模を拡大するかも焦点となる。
政府は法案成立後、具体的な業種や試験などを定める分野別の受け入れ方針を作成する予定だ。
与党は受け入れの規模を明示するよう求めており、政府は人手不足の状況に応じた分野別の受け入れ規模の算定作業を急ぎ、臨時国会でおおよその規模を提示するとしている。「移民政策はとらない」という政府の姿勢には、与党内からも「移民政策ではないと言い切れるのか」との声も上がっている。
野党は、外国人の人口が大幅に増えるにもかかわらず、移民としないことで抜本的な制度の改革などが後回しになる恐れがあるとして国会で追及していく。
治安面の不安や日本の文化との共生対策なども論点となりそうだ。
2017年10月時点の外国人労働者数は、厚生労働省の調査で127万人と過去最高だった。新制度で大幅に増える可能性もある。
法務省入国管理局を改組して受け入れや在留管理を一元的に担う「出入国在留管理庁」を設け、不法就労の温床とならないよう、日本から強制送還された自国民の受け入れを拒否した国などからは受け入れを制限していく方針だ。
外国人労働力の受け入れの増加により、賃貸需要は今後も伸びていくことが予想される。
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