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マイナス金利政策下でも預金残高1000兆円超
- 2017/6/30
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日銀によると、2017年3月末(2016年度末)時点での、銀行や信用金庫など日本の金融機関における預金残高は、1053兆円と過去最高となったことが分かった。
日銀のマイナス金利政策によって金利がほぼゼロにもかかわらず預金残高が増え続けている背景には、「団塊の世代」を中心とした中高年が退職金や年金を貯蓄し続けているという現状があり、活用されないまま積み上がる「死に金」ばかりが銀行に蓄えられている。
現在、メガバンクにおける普通預金の金利は0.001%ほどとなっており、100万円預けても1年に10円(税引き前)の利息しか付かず、ATMで時間外手数料を1回でも払えば「元本割れ」してしまう計算だ。
2016年に日銀が導入したマイナス金利政策は貸出金利を下げてお金の流れを市場に促す狙いで行われたが、預金はその後も増え続け、個人の金融資産1800兆円の半分を占めるほどになっているというのが現状。
かつての銀行のビジネスモデルは「集めた預金を元手に、企業や自宅を購入する個人等にお金を貸す」というもので、貸し出しに回らない「余資」は国債を中心に市場で運用されてきた。
国債は価格が上昇するものの、長期的にみれば金利は一貫して下がり続けるため、国債を買っておけば利益が出ていたのである。
そんな環境を一変させた日銀のマイナス金利政策。10年物国債の金利が0%近くまで低下するなど利回りのない国債は買いにくく、銀行も運用できない余剰資金を預金のまま抱え込むようになってしまった。
「日銀が国債を大量に買い入れてお金を銀行に供給しても、そのお金は個人消費や住宅購入・企業の設備投資に向かわず、預貯金として銀行に貯まり続ける」という構図になっている。
もちろん集めた預金は貸し出しとして一定量出ているが、今の銀行の預金は「貸しても、貸しても余る」という状態となっている。
国内銀行の預金残高に占める貸出金残高比率を表す「預貸率」は、ピーク時の1988年に137%に達していたものの、直近は70%台にまで低下。これは分母の預金残高の多さを如実に示している。
一部、信託銀行では運用先のないお金を預けてくる年金基金等に、一部マイナス金利分の負担を求めるなどの動きが始まっており、近い将来、利息が増えるどころか、預金をすることに手数料を求められる時代が来る可能性も考えられる。