
11月13日の日経新聞に掲載されていた転貸借、いわゆるサブリーストラブルに関する記事をご紹介したい。
マンション経営のサブリース(転貸借)契約を巡るトラブルが頻発しているのを受け、国土交通省が業者の実態調査に乗り出すことが分かった。
不動産所有者(オーナー)への収入保証などの説明が適切かどうかや、誇大広告の有無などを調べる。住宅メーカーや建設会社などの関連業者も調査対象とする。事業の問題点を把握したうえで業者の登録義務化も視野に入れ、ルールの強化を検討する。
サブリースとはビルやアパートなどの建物を、不動産業者が一棟丸ごと、もしくは一部借り上げ、入居希望者を見つけて転貸借するビジネスだ。入居者募集、建物の維持・管理、家賃集金などの業務を手がけ、家賃などの総額から業者の取り分を除いたものがオーナーの収入となる。
「安定した家賃収入を保証」などとうたう業者に勧誘され、高額な融資を受けてアパートを建設し、サブリース契約を結ぶケースも多い。数百万円の年収のサラリーマンが、1億円の借り入れをする例もあるという。その後、業者から家賃減額を迫られて事業計画が狂い、借入金の返済に行き詰まるなどのトラブルが相次いでいる。予定していた収入の約4割減額を迫られた例もあるという。
サブリース契約を使ったシェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズが破綻し、訴訟も起きており、所有者に対するスルガ銀行の不適切融資の実態も明らかになった。
国民生活センターなどへの相談は増加傾向だ。消費者庁によると、相談件数は2015年度から年々増え、2018年度も9月初旬までの約5カ月間は約180件に上り、このままいけば前年度を上回るペースだ。
国交省はサブリースの業者に関する登録制度を設けているが、現在は任意で、未登録業者が関与するトラブルが頻発していると見られている。同省は対象となる業者数や調査内容を詰めたうえで、2019年度の早い時期に調査を始める。民間の関連調査を参考にして、未登録業者とも接触を図る方向だ。
調査ではまずオーナーへの説明として「将来的な賃料変動の可能性」「業者は賃料減額を請求できる」など、投資プランに関わる重要な事項を事前に適切な方法で知らせているかどうかなどを確認する。
不動産会社や住宅メーカー、建設会社など関連業者も対象に加えるのは、不動産購入の段階からサブリースを想定した契約があるためだ。サブリースを巡って複数の業者が関わる事業形態を詳細に把握し、適切な商取引を促すためのルールを強化する。
国交省は、まずは登録の義務化をにらんだ法整備を目指している。登録業者には重要事項の適切な説明やオーナーへの定期報告などのルール順守が求められ、国の管理も及びやすい。ただ、3万程度とされる不動産業者のうち、現在の登録数は大手を中心に4000程度にとどまっている。
調査結果を踏まえ、説明時の注意事項などを詳細に定めたガイドライン策定も念頭に置く。個人の不動産取引の実態も把握し、有識者や業界、金融機関などを交えた検討会を立ち上げ、投資家のリスク認識などの実情を探って対策を検討する方針だ。