
西武ホールディングズが宿泊に特化した低価格のホテル事業を展開することが発表された。
客室単価を1万円前後と安く抑えたホテルが2019年度をメドに開業。訪日外国人客数が増えているが、ホテル料金の高騰で民泊などに流れる動きもみられる。お手頃感のある価格設定で、中間所得層などの新たな顧客開拓も視野に入れている。
気になる新ブランドは「プリンスホテル」など既存の3つに次ぐ4番目のブランドとして立ち上げられる予定だ。既存ホテルはいずれも宿泊や飲食店、宴会場を備えるフルサービス型。ブランド名は未定だがプリンスを冠するものを検討し、ブランド力の維持も狙う。
町の写真国内外でプリンスホテルを中心に約50か所のホテルを運営する西武HD。
新たなホテルは首都圏のほか地方の主要都市、新幹線の停車駅や空港周辺の都市などが候補となる。店舗網が相対的に薄い関西圏なども有力に。西武HDは国内のすべてのホテルは直営だが、新ブランドではフランチャイズチェーン(FC)や運営受託などの手法も組み合わせ投資リスクの軽減も検討する。
人工知能(AI)を活用し顧客のデータをもとに個々人のニーズにあわせた宿泊プランを提案。スマートフォンで宿泊の手続きを簡単にできる仕組みづくりもめざす。2016年に2400万人と伸びている訪日客の需要を追い風に、ホテル市場は成長が期待される。
訪日客は料金高騰を背景に民泊などに流れる傾向もあり、地方にも足を伸ばす。強気だった料金を見直すホテルも出てきており、西武HDは新ブランドのホテルを迅速に広げ、取りこぼしてきた中間所得層の訪日客や若い世代の取り込みを急ぐ考えだ。
訪日外国人客数が増えたことから、民泊としての東京都心ワンルームマンションの需要が高まっている。通常の賃貸需要に加わることでワンルームマンションの希少性・価値は上がる一方だ。マンション経営者からの嬉しい悲鳴は当分続きそうだ。