
12月7日の日経新聞に掲載されていた、虎の門エリアの再開発に関する記事をご紹介したい。
2020年、JR山手線の「高輪ゲートウェイ駅」とともに、東京メトロ日比谷線の「虎ノ門ヒルズ駅」が開業する。2つの駅は、いずれも交通の要衝だ。
22年度に全線開通する幹線道路の環状2号(環2)が通る虎ノ門エリア、羽田空港の玄関口となる品川・高輪エリア。2つの駅とその周辺の再開発は、東京の「地の利」を変える可能性を秘めている。
虎ノ門ヒルズ駅が誕生するのは、日比谷線の【霞ケ関―神谷町】間。20年の東京オリンピック・パラリンピック前に利用を始め、22年度の完成を目指している。東京メトロは「再開発で整備される建物と新駅がつながることを踏まえた」と名前の選定理由を説明した。新駅とつながる建物とは「虎ノ門ヒルズステーションタワー(仮称)」。
虎ノ門ヒルズとは、14年に開業した森タワーに加え、2019年から22年にかけて完成予定の3棟のタワーの総称だ。2014年開業の森タワー、2019年完成予定のビジネスタワー(仮称)、21年のレジデンシャルタワー(同)、22年完成予定のステーションタワーの4棟。新設する3棟の事業費は合計で約4000億円。いずれも森ビルが手がける。
虎ノ門エリアの再開発の特徴は、交通インフラの整備と一体で進める点にある。例えば、都心と臨海部を結ぶ環2は、森タワーの低層部を貫通する。立体道路制度を活用し、超高層ビルと道路を一体で整備した。開発が進むHARUMI FLAGを代表とした臨海部から築地市場跡地の地下を通り、都心に向かう環2。虎ノ門ヒルズはベイエリアからの玄関口になる。
ビジネスタワーにはバス高速輸送システム(BRT)のターミナルもできる。BRTはHARUMI FLAGや10月に開場した豊洲市場などと虎ノ門を結ぶ。将来的には、東京駅に向かうルートも検討されている。
ここに日比谷線の新駅が加わる。新駅は地下通路で銀座線の虎ノ門駅とつながる。幹線道路や新たな公共交通と期待されるBRT、地下鉄が交わる虎ノ門エリアは東京の新たな交通の結節点となる。
日本大学の岸井隆幸・特任教授は「東京は、東京駅とそこにアクセスしやすい新宿や渋谷などのターミナル駅でできた街。虎ノ門は全く新しい拠点性を持つことになる」と話した。
2つの新駅と再開発は、外国人ビジネスマンを受け入れる玄関口を目指す点でも共通している。
高輪ゲートウェイ駅の再開発では、国家戦略特区を活用して容積率を緩和し、外国人向け住宅を整備する。
虎ノ門ヒルズでも、出張者らが長期滞在できるサービスアパートメントを含めた約720戸の住宅を整備。森ビルは、虎ノ門ヒルズの南にある虎ノ門・麻布台エリアでも約1300戸の住宅や都内最大級のインターナショナルスクールを設け、外国人向けスーパーを誘致する再開発を計画している。
「エキマチ一体」の再開発で東京と日本の新しい玄関口をめざす2つの新駅。高輪ゲートウェイ駅の再開発は約5000億円、虎ノ門ヒルズ駅周辺の3つの新棟は約4000億円をかける。あわせて1兆円規模の2つの再開発は国際的な金融都市構想を掲げ、オリンピック後の東京のけん引役としても期待されている。