森記念財団都市戦略研究所が2017年版「世界の都市総合力ランキング」を発表した。
1位はロンドン、次いで2位にニューヨーク、3位に東京という結果となった。
このランキングは世界の44都市を対象に行われた。評価の方法は、それぞれ「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の計6分野70指標を点数化していくというものだ。
東京の順位は前年と同じく3位となっているが、前年に比べてスコアを大きく伸ばし、2位のニューヨークとの差を46.2ポイントから31.6ポイントへと縮めた。一方で、首位のロンドンは前年に比べ50ポイント近くスコアを伸ばし、2位以下をさらに引き離した。その大きな理由は、2012年に開催されたロンドン五輪を機に訪問客数などの点数を伸ばし続けているからだという。4位にランクインしたパリは、2015年に起きた同時多発テロの影響により居住分野の順位を落とし、以降もスコアが下がり続けている。
東京が獲得した順位を分野別に見ると、昨年は11位だった交通・アクセスが今年は6位に浮上している。羽田空港から直行できる国際線の就航都市数が増えたことなどが寄与している。また、昨年までは「国際線旅客数」だった指標が、今年の調査で「国内・国際線旅客数」に変更されたことも影響しており、それにより国内の都市への就航が多い東京のスコアも伸びている。
文化・交流では昨年の5位から4位に上昇した。訪日外国人の増加による「外国人受け入れ実績」や美術館・博物館などの「集客施設」のほか、食事や買い物の魅力においても高い評価を得ている。今回の発表について、発表元である森記念財団の理事は「1~2年後には東京とニューヨークの競争は激化するだろう」と指摘した。
訪日外国人は2016年の時点で2000万人を超えており、政府は東京五輪が開催される2020年に向けて訪日客4000万人突破を目標としている。しかし、観光客の増加に伴う宿泊施設の不足も懸念されている。そこで解決策として注目されているのが、自宅の一室やマンションに客を宿泊させる「民泊」である。アメリカの民泊仲介サイトの最大手Airbnb(エアビーアンドビー)によると、2016年には前年より約230万人増加の370万人がサービスを利用したという。
今後もさらに利用者数が増えることが予想されている民泊だが、マンション経営においても見逃せない新法となるだろう。現在すでに賃貸用として経営されているマンションが民泊物件に転用された場合、そのエリアにおける賃貸物件の総数が減るため、既存の賃貸物件のニーズが高まっていく。その中でも旅行者にとって便がいい都心の駅近物件の需要はますます右肩上がりになっていくことが必至といえる。