第34回 不動産管理・運営において発生する税金と節税のコツ
融資を受けて事業拡大、事業的規模になったら節税、相続税も考える
これから、金融機関から融資を受けて不動産経営を拡大しようと考えているオーナー様でしたら、まず攻めとしてしっかり納税し金融機関の信頼を得て、もうこれ以上物件を増やさなくてもよいと感じたら、守りとして節税をしっかり行ってください。
また、銀行に対する信頼度が増す青色申告にしましょう。
不動産経営が事業的規模(5棟10室基準)に達したら、専従者を雇い給料を支払えば、オーナー様の所得を減らすことができ税金対策になります。
事業的規模(5棟10室基準)に達したら、5%の個人事業税が課せられたり、不動産経営での課税売上が1,000万円を超えた時点で、税務署に消費税を支払うようになったりします。
一方、不動産を奥さんやお子さんに相続させたいと考えておられるオーナー様は、法定相続人が1人の場合、3600万円以下の不動産であれば相続税はかかりませんし、ある条件をクリアすれば、相続時精算課税制度を利用することで2500万円までの生前贈与が非課税になります。
攻めの納税でスピーディーに融資を受ける
どんな事業でも、節税をしてなるべく税金の金額を減らそうと考えるのが一般的で、不動産の管理や運営においても間違いではありません。
ただ、これから金融機関から融資を受けて不動産経営を拡大しようと考えているオーナー様であれば、まず攻めとしてしっかり納税をしてください。
金融機関は、納税額が多いと儲かっている事業と判断し、さらに融資して利子を得ようとします。
逆に節税によって納税額が少なくなると、儲かっていない事業と判断してしまい融資をためらいます。
節税は程ほどにしてしっかり納税して、金融機関からスムーズに融資を受けマンション経営を拡大し、もうこれ以上物件を増やさなくてもよいと感じたら、守りとして節税をしっかり行ってください。
納税は、攻めの納税、守りの節税といった観点で使い分け、スピーディーに融資を受け、マンション経営を拡大してください。
銀行に対する信頼度が増す青色申告にする
個人事業者などが行なう青色申告はご存じでしょうか?
確定申告には白色申告と青色申告があります。
青色申告には、10万円特別控除と65万円特別控除のコースがあり、帳簿の付け方に違いがあります。
10万円特別控除の場合は、単式簿記の記帳を行い、決算時期には、青色申告決算書が必要です。貸借対照表は必要ではありません。
65万円特別控除のコースの場合は、複式簿記による記帳を行い、決算時期には貸借対照表と青色申告決算書が必要です。
どちらのコースを選んでも構いませんが、白色申告より銀行に対する信頼度が増す青色申告にしましょう。
サラリーマンのオーナー様の中で、記帳に時間をかけたくないと考える方は、税理士に依頼することも検討してください。
不動産事業の拡大に合わせて、白色申告から青色申告への変更も可能です。
事業的規模に達したら専従者を雇い給料を支払えばオーナー様の所得を減らし税金対策
不動産事業が拡大し、事業的規模に達したら、専従者(生計を伴にする配偶者や15歳以上の親族)を雇うことができます。
不動産事業における事業的規模とは、5棟10室基準があり、一戸建ての場合は5棟、区分所有するアパートやマンションの場合なら10室以上の貸付数となっています。
専従者を雇い給料を支払えば、オーナー様の所得を減らすことができ税金対策になります。
購入した不動産を5年以内に売却すると高額な税金がかかる
総合課税と分離課税があることをご存じでしょうか?
総合課税では、給与所得と不動産経営で得られる家賃収入など不動産所得を合算した額に課税されます。
不動産を売却した際の利益は、給与所得や不動産所得とは別に譲渡所得として所得税と住民税がかかり分離課税と呼びます。
分離課税は、マンションやアパートなど不動産を購入してから5年以内に売却した場合に課税される短期譲渡所得と、不動産を購入してから5年超えて売却した場合に課税される長期譲渡所得に分かれます。
短期譲渡所得の税額は、課税短期譲渡所得金額×39%(住民税9%を含む)で算出します。
長期譲渡所得の税額は、課税長期譲渡所得金額×20%(住民税5%を含む)で算出します。
このようなことから、購入した不動産を5年以内に売却した場合には、多くのお金がかかるので注意が必要です。
マンション経営で得た所得が上がると納める税金の種類が増える
マンション経営にかかる税金には、ご紹介した所得税をはじめ、住民税、固定資産剤、都市計画税があります。
さらに、不動産事業が拡大し事業的規模(5棟10室基準)に達したら、5%の個人事業税が課せられます。
マンション経営で得た所得で290万円を超える部分に個人事業税(5%)が課せられます。
また、マンション経営での課税売上が1,000万円を超えた場時点で、税務署に消費税を支払うようになります。
600万円以下(法定相続人1人)の不動産であれば相続税はかかす、ある条件をクリアすれば2500万円までの生前贈与が非課税になる相続時精算課税制度
不動産経営により、手に入れたマンションやアパートを奥さんやお子さんに相続させたいと考えておられるオーナー様もいらっしゃると思いますので、相続税についてご紹介します。
相続税とは、例えば、不幸にもオーナー様が亡くなった場合、オーナー様が所有する不動産などを譲り受けたご家族など(法定相続人)が支払う税金です。
ただ、基礎控除がある相続税は、全ての法定相続人が課税対象になるとは限りません。
相続税の基礎控除額は3,000万円+600万円×法定相続人の数という計算式から算出します。
例えば、法定相続人が1人だった場合、基礎控除額は3600万円となり、3600万円以下の不動産であれば、相続税はかかりません。
生前贈与をお考えのオーナー様でしたら、相続時精算課税制度を利用することをおすすめします。相続時精算課税制度は、ある条件をクリアすれば、2500万円までの生前贈与が非課税になります。
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