東京の街コラム|第13回 少子化の裏に隠された東京でのこども人口
少子高齢化が進む日本
日本は少子高齢化社会に突入しています。
2010年の国勢調査では、総人口は1億2726万人で前回調査より24万人減少し、高齢者の割合は25.04%となりました。
この数字は、65歳以上の高齢者は過去最高の3186万人、4人に1人が65歳以上になったことを表わしています。
2024年には30%を突破、2035年になれば3人に1人が高齢者になる見込みです。
また、厚生労働省が調査した1人の女性が一生の間に産む子供の数を表す「合計特殊出生率」は、2013年度は1.43となっています。
日本全体としては、生まれる子どもの数は減っており高齢者の人数が増えています。
総人口に対する高齢者の割合は以上のようになっていますが、実際には人々は引越しをして国内を移動するので、地域ごとにおける高齢者や子どもの割合は違ってきます。
東京における少子化の現状を紹介しましょう。
東京における少子化の現状
2013年度 厚生労働省「人口動態統計」より:
東京の合計特殊出生率 ・・・ 1.13(47都道府県で最下位)
0~14歳の子ども人口比率・・・ 11.4%(最下位)
以上のデータでは、東京都においては子どもの生まれる人数も少なく、子どもの人口割合も少ないことがわかります。
これだけを見れば、東京は今後も子どもの数がどんどん減っていくように思えます。
日本全体で年齢別子どもの人口は次の通りです。
10~14歳 ・・・592万人
5~9歳 ・・・559万人
0~4歳 ・・・530万人
データからは、年少者になるほど総数が減っているのがわかります。
実際に0~14歳までの人口は、2000年から2010年にかけて167万人、9.0%減少しました。
これに対して東京23区では、
10~14歳・・・31万人
5~9歳・・・31万人
0~4歳・・・33万人
全国規模の子どもの人口は年齢が低いほどその数が減っているのに対し、東京では0~4歳の数が逆に多くなっています。
そして0~14歳までの人口は、2000年から2010年にかけてその割合が5.1%増えました。
都内においては子どもの数が増えており単純に少子化とは言えません。
東京の子ども人口が増えている理由とは
東京で子どもの人数が増えている理由は、その親世代である20代後半から30代前半が数多く転入しているためです。
この世代が東京23区内の全人口に占める割合は、16.3%で、全国平均の12.3%の1.3倍以上となっています。
なぜこの世代の転入が多いのかというと、会社が数多くあることや交通の利便性が高いこと、小学校から大学まで、国公立、私立を問わずその数が多く教育環境が充実していること、商業施設、娯楽施設も豊富で豊かな生活が不自由なく送れることが考えられます。
東京の人口増加は、1997年ごろから都心の地価が下がり、低金利政策でマンションが数多く建設された頃から始まったと言われています。
日本は国全体としては少子高齢化社会に突入しているとはいえ、東京のような「都市部」には若い世代が多く集まることがわかります。
23区内でも子育て世代に好まれるエリアはどこか
若い世代が多く集まる東京23区の中でも、さらに子育てに人気のある区とそうでない区があります。
子育てに適した環境条件をあげてみましょう。
■自然が豊か ■子育てに関する公共サービスが充実していること
23区内は交通アクセスが良いのはもちろんですが、自宅から最寄り駅、自宅周辺徒歩10分圏内の商業施設や公共サービス施設のチェックも欠かせません。
スーパーや商店街の数が多く営業時間も長いことや、子どもの塾や習い事ができる場所が多いことも重要です。
また保育施設の数や待機児童の数が少ないこと、医療施設やそのサービスの充実度は共働き世帯にとってはエリア選びに不可欠な条件です。
この他にも自宅から学校、駅までは横断歩道やガードレールなど道路が整備されていること、近所の公園はどうか、遊具の安全面やトイレなどの設備、ゴミの散乱状況、夜間の人通りなども子育てにとっては見逃せないチェックポイントです。
そして子育てに選んだ場所は、その子どもにとっては自分の故郷となる場所です。
子ども自身がその場所を好きになれるかどうか、思い出が作れる、育った場所を思い出すことができる風景や建物があるかどうかも、子どもの将来に少なからず影響を与えます。
現在23区内で子育てに人気のある区を紹介します。
江戸川区
23区内で合計特殊出生率トップの区。
「保育ママ」制度(子育て経験のある人や幼児教育資格保持者が子どもを預かる)の発祥区として有名であるだけでなく、安い保育料、幼稚園授業料助成制度、乳児養育手当支給(所得上限あり)、「すくすくスクール」(地域住民による学童保育的な活動)、小学校以降の読書推進活動などがあります。
品川区
学校選択制、外部評価者制度、教科担任制、早期英語教育導入などを全国の小学校に先駆けて開始。
2006年4月からは、小中一貫教育をスタート。
区立の保育園でパート主婦が利用できる「短時間就労型保育」があります。
また延長保育、夜間保育(夜10時まで)を実施しているところもあります。
世田谷区
短歌、俳句、古文、漢詩、論語、近代詩の音読や朗唱をする「日本語」という教科の実施。
地域住民が学校運営に参画する「地域運営学校」制度を設けています。
北区
入院医療費助成(高校3年まで)、ファミリー世帯への家賃・転居費用助成、親元近居助成(親元の近くに住むための住宅所得時費用負担軽減制度)、3世帯住宅建設助成制度があります。
23区内では、保育所の待機児童数も少ないのも特徴です。
上記を参考にして、住みやすい街を探してみてください。
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