東京の街レポート|第17回 こどもが増える港区・品川区と減る杉並区・中野区

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東京の街コラム|第17回 こどもが増える港区・品川区と減る杉並区・中野区

「住みよい街探し」のポイントとなる「子育てがしやすい環境」

子育てがしやすい環境

家を買う、引越しをするなど新しい住まいを探す人たちにとって場所選びのポイントは何でしょうか。
個人によりその基準には違いはありますが、一般的に住む家を探す人たちの多くは通学や通勤に便利な場所を探す単身世帯と20~30代の子育て世代です。
現在、東京23区では「都市回帰」の流れを受けて子育て世代の流入が盛んで、それに伴い人口増だけでなく子どもの比率が高くなっています。

一概には言えませんが「住みよい街」は「子育てがしやすい街」という一面を持っています。

東京23区では、それぞれの区で独自の子育て支援政策を打ち出しています。最近ではその政策の効果が徐々に出始めて、子どもの割合が高くなっている区も出ています。港区、品川区では子どもの数が増えた一方、杉並区と中野区はその数が減っています。

ここでは東京23区での子どもの人口や、その割合が増加した区と共に自治体独自の子育て支援策も紹介していきます。

子どもの割合が増えたと判断する指標:幼児人口増加特化度

23区はその広さに差があるため、子どもの年齢別人口が多いというだけでは「子育てがしやすい街」とは言えません。子育てがしやすい街、子育てファミリーが多く流入している街を計るには、「幼児人口増加特化度」を用います。

幼児人口増加特化度の求め方は「幼児人口増加率 ÷ 総人口増加率」で算出します。

2000~2010年の東京23区の総人口増加率は10%で、6歳未満の幼児人口増加率は7%でした。つまり東京23区の幼児人口増加率特化度は0.7となります。
全国平均値はマイナス11.9です。これは、総人口は増えているのに幼児人口は減ったことを意味しています。

東京23区全体は子どもの数は増えていますが、区別に幼児人口特化度を見ると数値がプラスの区もあればマイナスの区もあります。
子どもの増えた割合に差があるということは、子どもにとって暮らしやすい環境、つまり子育てのしやすさに大きな差があるということです。

東京都23区の「幼児人口増加特化度」ランキング

幼児人口増加特化度ランキング

幼児人口増加特化度がプラスの区は23区中14区あります。
1位は港区、2位品川区、3位世田谷区、以下江東区、千代田区、目黒区、文京区、中央区、北区、荒川区、台東区、豊島区、墨田区、新宿区です。
ここまではプラスの区ですが、以下、足立区、大田区、練馬区、江戸川区、葛飾区、渋谷区、板橋区、杉並区、中野区はマイナスの区です。
1位の港区の幼児人口特化度は2.5、最下位の中野区はマイナス12.8です。
1位と23位では、子育て環境にどのような違いがあるのでしょうか。

子育てがしやすい5つの環境

子育て環境を左右する主な特徴は5つあります。

(1)自治体の子育て支援策が充実している
子育ての助成金制度が豊富にあることや、公園など子どもが遊べる場所の数や施設の充実度、また子どもの医療費助成制度が手厚い地域は、子育てファミリーの増加に大きな影響を与えます。

(2)都市機能が発達し、自然も豊かな環境
幼い子どもを育てる親にとっては、子どもを遊ばせる公園が近くにあること、幼稚園、小学校が近くにあり、さらに夜間、急に発熱した子どもの診察をしてくれるような医療機関もあれば安心です。
共働き世帯にとっては、職場から家、保育園はできるだけ時間をかけずに移動したいもの。それを実現できるのは、都市部だと言えるでしょう。

(3)認可保育所の数が十分あり待機児童が少ない
待機児童の数は、共働き世帯にとって家探しの最優先事項と言えます。そして延長保育にも柔軟に対応してくれるような認可保育園があれば安心です。

(4)子どもの学力が高い地域
教育熱心な家庭が多い地域は、子どもの学力は向上する傾向があります。このような場所では、幼児教育から大学受験対策まで対応できるような塾がたくさんあります。その数が増えれば増えるほど、競争が激しくなるので、子どもの学力はより高まる可能性があります。

(5)失業率が低く治安が良い
失業率が低いエリアは、事件や事故が少なくなる可能性があります。治安が良いと親が安心して日常生活をおくることができ、仕事に専念できるので、子どもにもゆとりが生まれます。

子育てファミリーが選ぶ港区と品川区の特徴

港区と品川区の特徴

幼児人口増加特化度が1位の港区と2位の品川区の子育て支援政策を紹介しましょう。

品川区は、全国に先駆けて学童保育の対象年齢を6年までに引き上げていたため、学童の登録児童数が2014年度で23区内第1位、約5,400人と2位の世田谷区約4,500人を大きく上回っています。
1~3年生の登録率も23区平均で29.1%に対し50.8%と1位です。
保育所の待機児童数の割合も1.3%と23区中2位。
女性が子どもを産み育てながら仕事を続ける環境が整っています。

品川区では区民のボランティアが参加する子どもの見守り制度もあります。
GPS機能がついた防犯ブザーを小学生が携帯し、万が一の時は発信地点近くのボランティアの住民が子どものSOS発信に応じて駆けつけるというシステムです。
このシステムの土台となった「83運動」は、午前8時と午後3時には、地域住民が犬の散歩や買い物などの時間を利用し屋外に出て子どもの見守りをしようという活動です。
このような地域住民も巻き込んだ子育て支援が、子育てしやすい街としての人気を集めた要因となっています。

港区は年収の高い層が住む、誰もがうらやむ場所として最高のステイタスを誇る街です。衣食住、どれをとっても不自由さを感じることがありません。
そして区のサービスも子ども医療費助成制度に留まらず、1回500円で夜10時半まで利用できる区立のスポーツセンターや各種証明書発行手続きが土日も行えること、ゴミ捨て禁止条例や緑の公園が多いことなどが高い評価を得ています。

また東京大学の医科学研究所や慶応義塾大学、東京インターナショナルスクールなどの教育施設が多いことも教育熱心な親達にとっては大変魅力的です。
都内のあらゆる方面へ移動できる交通アクセスの良さは、夜遅くまで活動したい若い夫婦にはぴったりです。

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