東京の街コラム|第18回 医療環境が充実の東京23区はどこ?
医療環境の充実度によって住みやすさが決まり人口増加につながる
「住みよい街」探しで見逃せない優先事項の1つに、「医療環境の充実」があげられます。日々の暮らしをおくる中で、赤ちゃんからお年寄り、全ての人が病気や怪我で医師の診察を受けます。通いやすい病院や町のお医者さんが近所にあれば、まさかの時には安心です。
東京23区の自治体では、独自の医療保障制度を提供し、それがきっかけとなって子どもや20~30代夫婦の区内への引越しを導いたケースも多々あります。
ここでは各自治体内のどの区で医療機関が多いのかを紹介し、また独自の医療助成を提供している区を紹介していきます。
面積あたりの診療所の数が多い区はどこか
「医療環境が充実している」と言えば、思い浮かぶのが気軽に受診できる診療所が徒歩圏内に数多くあることです。年齢やライフスタイルにもよりますが、「ちょっと診察してもらう」といった病院がすぐ近くにあればとても便利です。
そして診察を受けるのは自分だけではなく、予防接種を受ける乳幼児、付き添いがないと通えない高齢者なども想定されます。
自分がその人たちに同行する、同行してもらうことも考えれば、医療機関やその数が充実していることは、住まい探しの大切なチェックポイントといえるでしょう。
また診療所の数が多いということは、外来患者の診察医師が多いということに加えて在宅医も多いということです。高齢化社会が進む日本において、今後在宅医療の充実が求められていく傾向があります。
東京23区においては、他の地域よりも在宅医を見つけることができる可能性が高いというメリットがあります。
医療機関と患者の自宅が近ければ近いほど、医療水準が高いと考えられています。在宅医療を受ける側からすれば、区の介護担当者からアドバイスをもらいながら、多くの在宅医から自分に合った医師を探せます。安心して老後生活をおくるためには、医師の人数が多い都市部が好まれます。
そうはいっても医療機関の数は、単純に数が多ければよいというわけではありません。23区の広さはそれぞれ違っており、例えば住んでいる人が少なく、昼間働く人が多いオフィスエリア向けに開業している診療所もたくさんあります。
まずは診療所の数を面積で割った診療所の集積密度で比較してみます。
23区で上位にランクインした区は次の通りです。
1位 中央区
2位 千代田区
3位 渋谷区
4位 港区
5位 豊島区
次に入院ができる病院、病床数の多い区は以下のようになります。
1位 板橋区
2位 足立区
3位 新宿区
4位 世田谷区
5位 文京区
1位の板橋区は2位の足立区の病床数を1.5倍上回っています。
3位の新宿区には、慶応大、女子医大、東京医科大の附属病院、文京区には東大、医科歯科大、順天堂大、日本医科大といった国内屈指の大病院があります。
これらの大病院には、近隣各県からも患者が受診や入院のために利用することが多く、交通の便が整ったところにあります。
大病院周辺は地域以外の人の出入りも増えますが、それに伴い病院周辺も整備されます。
看護師の数と平均在院日数
医療環境の充実度を計るその他の指標に、看護師の数と患者の在院日数があります。23区内では、看護師の数が多ければ患者の在院日数が短い傾向があります。
23区内でも特に中央区などの中心部では、看護師数が100床あたり107.6人で1位である反面、患者の平均在院日数は11.4日と22位となっています。
都内中心部では、病院経営の効率化が求められている現実が伺えます。
病床100床あたりの看護師数が多い区は次の通りです。
1位 中央区(107.6人)
2位 文京区(92.3人)
3位 港区(85.8人)
4位 新宿区(85.3人)
5位 千代田区(84.6人)
独自性も出てきた23区の子育て世帯向け医療支援制度について
医療機関の数が多い区については以上の通りとなっていますが、住む人にとっては病院の数と共に大切なのは、どのような医療助成制度が受けられるかということです。
医療費の援助が受けられるかどうかは、特に若い子育てファミリーには住まい選びの中でも優先度が高くなっています。
子どもの医療費助成制度は、現在全ての区において所得制限なしで中学3年生まで助成を受けられます。
また小児慢性疾患医療費助成や予防接種事故に対する医療費公費負担制度といったものもあります。
区によっては独自の医療支援制度を行うところもあります。
千代田区は、独自の支援策として区内在住者であれば18歳に達した日以後の最初の3月31日まで、入院や通院についても自己負担分の軽減を受けられます。北区は入院についてのみ助成を受けることができます。
出産祝い金のランキングを紹介しましょう。
港区では出産時助成金が区内最高の60万円です。2位は江戸川区の約15万6000円、3位は渋谷区の8万円です。ランク外ですが、練馬区では第3子以降の出産は20万円が支給されます。
小児用ワクチンや予防接種の助成をしているのは品川区と北区です。
医療助成ではありませんが、世田谷区では「さんさんサポート」という子育て世帯向けへのヘルパーさん派遣サービスがあります。葛飾区では、幼児2人同乗用自転車の購入補助が受けられます。
これから子どもを持つ予定なのか、また、すでに子どもがいる家庭では子どもの年齢を考えて住まい選びをしたいものです。
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