東京の街レポート|第24回 品川区の発展は商店街にカギ

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東京の街コラム|第24回 品川区の発展は商店街にカギ

高級住宅地から子育てしやすい区へ移り変わる品川区

移り変わる品川区

品川区は、東京湾沿いに広がる区で、面積は23区内で10番目の広さです。
人口は10位、人口密度は11位、人口増加率は12位、昼間の人口11位、老年人口比率12位、事業所数11位、製造業出荷額10位、小売業販売額14位、所得水準10位というように、データからは23区全体の真ん中程度の活力を持っている区というイメージになります。

品川区の特徴は、JR東海道線をはさんで東西2つに分かれます。西側の江戸時代に建てられた武家屋敷跡に広がる高級住宅街と、東側の現在開発が進み若い世代の流入が期待される東京湾に近いエリアです。

品川区の強みは鉄道路線の多さです。区内のほぼ全域が、鉄道駅から半径800m以内の徒歩圏にあります。そしてこの鉄道路線に沿うように商店街が発達しています。商店街は販売だけでなく古き良きコミュニティの役割も果たしています。品川区の子育て支援政策との相乗効果が出て、現在品川区は「子育てがしやすい区」として若い世代の人口が伸びています。

品川区発展の歴史

品川は宿場町として栄えてきました。現在の京浜急行北品川駅から青物横丁駅にかけての一帯には、旅館や水茶屋、質屋、米屋など1,600あまりの店が集まっていました。

明治初期、新橋~横浜間の鉄道が開業した時、この商店街では駅の設置に反対したことから、現在ある品川駅はこの商店街の北側、港区内に建設されることになりました。これにより、江戸時代に栄えた品川宿は衰退したと言われています。武家時代以前にさかのぼる品川区を代表するものには、宿場町の他に、国の重要文化財の「大森貝塚」や処刑場だった「鈴が森刑場跡」があります。

現在の品川区の山手線内側にある、東五反田と北品川は江戸時代大名屋敷や武家屋敷があったエリアです。このエリアは、三菱グループが住宅開発を行い高級住宅地エリアとなりました。またこのエリアの南側には、現在の大手電機メーカーが戦後間もなく移転してきました。ほかにもいくつかの有名企業が、このエリアを拠点として業務を拡大しています。

区の東側、海沿いエリアは商業地区としてたくさんの人でにぎわっています。宿場町があった北品川、青物横丁、鮫洲などの旧東海道周辺やJR大井町駅付近の海側は再開発が進み高層マンションが増えています。

「子育てなら品川区」─ 品川区の幼児人口の増加について

子育てなら品川区

武家屋敷跡に多く建てられた高級住宅で優雅に暮らすイメージと、数々の大企業が発展した歴史を持つ品川区は、近年海側に向かって再開発が進み、新しい街の姿が生まれつつあります。
区内を縦横に走る鉄道路線、そして駅周辺に今も残る商店街の活力が品川区の子育て支援政策に溶け込み、若い子育て世代の人口増へとつながりました。

国勢調査によれば、東京都全体では0~6歳未満の幼児の数は、国全体ではマイナス10.6%だったのに対し、23区はプラス6.9%となっています。

品川区が発表した区内の0~14歳の人口は増加傾向にあり、平成26年度は40,150人、10.8%の上昇でした。合計特殊出生率(1人の女性が生涯で子どもを産む数)は、平成24年度の品川区は1.11、東京都全体では1.09です。そして0~5歳までの人口は、平成15年から26年の11年間で41.0%上昇しました。

このような数値の上昇を導いた理由は、品川区が他の区では見られない独自の子育て支援政策をとったことにあります。

若年層の流入を誘導する品川区の子育て政策と商店街

国の指導により全国の自治体では、子育て支援政策が行われるようになっています。子どもの医療費助成制度や出産時お祝い金などは、金額の差はありますが全国どこの地域でも多くみられるようになりました。

このようにさまざまな子育て支援が行われていても、都会と地方といった地域性の違いなどやそのほかの理由で、なかなか子どもの数の増加には結びつかないのが課題となっています。

品川区では若いファミリー層の流入が増えて子どもの人口が増えましたが、その決め手となったものは何でしょうか。

それは、地域に住む人たちと子育て世帯との関わり方がポイントになります。品川区が最初にスタートさせた「83運動」は、小学校の登下校時間にあたる午前8時と午後3時頃に、地域住民が買い物や散歩などでできるだけ外出をして、子どもを見守ろうという活動です。

また地域の子育て人材の育成と活用も積極的に行っています。子育てボランティアの育成を行い、地域子育て支援センターの充実を図るなど、地域住民のサポートを利用して区民全体で子育てを支援する仕組みづくりをしています。

このような動きに品川区の商店街が積極的にかかわっています。商店街が空店舗を活用し、「食育ステーション」を運営した例や、赤ちゃんからお年寄りまでの交流が可能な「品川宿おばちゃんち」の開設、お母さん向けの子育て相談室といったサービスを行っています。

このような商店街の動きは、子育てだけにとどまらず、大学と連携してより広範囲な品川区民全体へのサービスへと発展するようなものもあります。品川区の活性化は商店街がカギを握っています。

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