東京の街コラム|第25回 港区は所得水準トップの街として東京のかなめ
ヒト・モノ・カネ・情報。全てが揃う港区は成功者が集まる街
街が発展する4大要素は、ヒト・モノ・カネ・情報と言われています。
港区には、この4要素全てが集まり東京23区の中心区として人々の羨望を集めるようになりました。
2005~2010年の5年間で港区の総人口は10.4%の増加率、23区内第3位です。
港区が東京の中心、「東京の要」と称されるデータを紹介します。
まず昼間の人口が23区中1位で事業所数も1位です。
港区に外から働きに来る人が多いということがよくわかります。
働きに来る人の中でも、情報通信業に従事する人は群を抜いて多くなっています。
放送業、情報サービス業、インターネット付随サービス業で従業者数1位、映像、音声系も1位です。
そしてソフトウェア業においては、2位の千代田区の従業員数の2倍強の多さ、民間放送業では在京民放5局の本社が港区にあるため23区内で働く民放社員の77%が港区で働いています。
そして放送業と関わりの深い美術家、写真家、デザイナー、音楽家、舞台芸術家の数も23区で1位です。
働きに来る人が多いという事実は、港区内にある高層ビルの多さからもよくわかります。
[東京消防庁統計書」では、2013年度末現在、23区内にある15階建て以上の高層ビルのうち18%が港区にあります。
30階以上では27%で23区内1位です。
昼間に働きに来る人たちは港区にある飲食店を利用します。
日本料理、西洋料理、焼肉、そば、うどん、喫茶店の数は港区が区内1位、中華料理、すし店も2位となっています。
これらの店がランチタイムや、仕事帰りの飲み会などで賑わいます。
そしてこの区に住む人たちの2012年度の平均所得額は904万円(総務省「統計でみる市区町村のすがた」より)となっています。
これらの人たちの多くは、高層マンションに住む大企業のエグゼクティブです。
このようにして港区には、ヒト・モノ・カネ・情報が集まり東京の中心区に発展を遂げました。
意外と浅い港区の歴史とは
今や東京の中心区となり、高額所得者が集まって住むようになった港区ですが、このようなステイタスを築いたのは、2000年以降、ごく最近のことです。
港区の大半は江戸時代の武家屋敷が多く建てられていました。
明治時代以降、これらの場所は迎賓館や大使館、霊園、ホテルなどの施設と高級住宅街に移り変わっていきます。
とはいっても、バブル期が始まる1990年代前までは、港区の賑やかな場所と言えば新橋や虎ノ門付近のオフィス街、夜に人が集まる六本木と赤坂ぐらいで、若者が多く集まるような大規模商業施設はありませんでした。
1990年以降、土地の大幅な値上がりに伴い、「億ション」が建設されました。
この頃から徐々に港区はその姿を変え始めました。
1993年開通したレインボーブリッジは東京の名所の一つとなり、芝浦地区の開発が進み、その後民放放送局が移転したこともあり湾岸の「お台場」エリアが注目を集めるようになりました。
2003年に六本木ヒルズがオープン、国立新美術館開業が2007年、2008年には複合大型商業施設の赤坂サカスが開業しました。
2000年代に開業した商業施設は、ヒト・モノ・カネ・情報全てが揃う場所として、あらゆる年齢層の人たちが集まる場所となり港区人気が一気に高まりました。
住みやすそうだけどやはり高額所得者じゃないと住みにくい港区
2000年以降、大きく発展を遂げた港区。 今では住みたい街のランキング上位に入るようになりました。
人口増加率も23区内で3位と高いこの区の住み心地はどうなのでしょうか。
港区の平均年齢は42.71歳で2位となっています。(参考:東京都の統計より)
若い世代の流入が多いのですが、特に幼児の人口の増加の割合が高い特徴があります。
この理由の1つとして福祉の充実が挙げられます。
・ 出産費用助成 上限60万円まで支給(1位)
・ 区立スポーツセンター利用料 1回400円
・ 産前産後期間内コミュニティバス料金無料 など
このような子育て支援政策が高い評価を得て、若い世代の港区への移入が進みました。
麻布、白金といった古くからの高級住宅街にはこの地に長く住む人たちが多いのですが、汐留、台場などの大規模開発地区では、一戸建てや高層マンションの建設が進んでいるため人口が伸び続けています。
その一方で港区に住む人の区民一人あたり納税額は1位(227千円)となっています。
(参考:平成24年度 人口一人当たりの特別区民税額及び納税義務者一人当たりの特別区民税額」)
高額所得者が港区に集まる理由は、このエリアの土地価格が高いためです。
賃貸住宅も家賃が高めになっています。
東京の中心区の1つとして、企業の多くが港区に集まり、交通アクセスも便利で全国から人が集まった結果、港区では全ての物の値段が上昇しています。
大使館も多く、有名大学もあり、美術館や博物館も数多く、豊かな暮らしができる港区は今やセレブの街として、ゆるぎないステイタスを確立しました。
港区は、今後も東京の要として「住みたい街」としての人気を維持していくことでしょう。
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