東京の街コラム|第27回 目黒区は女性の街。住みたい区は上位
「住みたい街」目黒区 その人気をデータからみる
インターネット上では「住みたい街」の上位にランクインする目黒区は、東京23区の西南部にあります。
明治時代、恵比寿に建てられたビール工場がこの区を代表する建物でした。
現在その地は大型商業施設に生まれ変わっています。
有名大学も多く昔ながらの高級住宅地もあり、トレンディーな店が集まるエリアもあります。
このような環境と都心への交通アクセスのよさが独身女性を引きつける街になった理由です。
独身女性たちは、平日は都心で働きアフター5も楽しみます。
アクセスが良い目黒区は電車の本数も多いので、帰宅が夜遅くなっても電車の時間をさほど気にすることもありません。
そして週末の休日は、朝寝坊をしてゆったりとした気分で近所のおしゃれな店に立ち寄り買い物や食事をします。
カルチャーサロンで趣味を楽しむのもよし、資格取得の勉強もできる、ジムで汗を流してストレス解消。
目黒区は都内23区の中でも、独身世代が暮らすための設備や施設が整っています。
治安面でも23区内では犯罪発生率が5番目の低さで、行政や地域住民による防犯意識の高さが想像出来ます。
このような住みよい環境が独身女性、子どものいない夫婦世帯の増加につながっています。
独身女性が多い街を表すデータ
まず、独身女性が多いことを示すデータを紹介します。
区内に住む女性の合計特殊出生率を見てみましょう。
平成25年度の人口動態統計によれば、合計特殊出生率は区内23位中22位となっています。
目黒区に住む人の男女比を見てみましょう。
女性100人に対する男性の数を「性比」といいます。
求め方は、
性比=男性/女性x100
です。
日本全体の平均は94.8、東京23区は97.3です。
これは23区内では女性の人数が多いことを示しています。
性比が低いということは女性の数が多い、つまり女性の単身世帯が多い=女性の独身世帯が多いことを示します。
東京都では2000年から性比が100以下となり、女性が多くなりました。
性比から23区内で女性が多く住んでいる区を調べると次のようになりました。
1位 目黒区(87.9)
2位 港区(88.0)
3位 渋谷区(90.7)
4位 文京区(91.7)
5位 世田谷区(91.7)
この結果は「住みたい街ランキング」と一致しています。
そして目黒区の中でも東横沿線の恵比寿、目黒、品川、中目黒、表参道といったエリアに女性の人気が集中しています。
目黒区の女性の未婚率の高さは次の通りです。(いずれも23区内)
30代 6位
40代前半 3位
特に40代前半 未婚女性は、23.8%を占め全国平均12.1%の2倍になります。
DINKSやキャリア・ウーマンが多いことを示すデータ
次に既婚者のデータをみてみましょう。
・ 新生児の母親の年齢が35歳以上の割合 1位
・ 共働き夫婦で子どもがいない夫婦の割合(DINKS) 5位
夫婦は晩婚で、高齢出産のカップルが多いと言えます。
そして正社員、とりわけ専門技術職や管理職、事務職の女性の割合が4位となっています。 目黒区は仕事を持つ女性が多いことがわかります。
世田谷区住民の人生観
目黒区の危機 人口が減少し始めた理由とは
現在東京23区全体では人口が増え続けていますが、国全体としては、今後人口は減少すると考えられています。
高齢者数は増加しますが、特に就学前の子どもの数は減る見込みです。
目黒区はどうでしょうか。
目黒区は2009年に人口が減少に転じました。
住みたい街のランキング上位で女性に好まれている目黒区で、何故人口が減ってしまったのでしょうか。
理由の1つに住む場所が少なく、土地の値段が高いことがあげられます。
23区内では、目黒区の地価は8位です。
そして総供給住宅戸数のうち借家比率は23位。借家が少なくなっています。
住み替えがしにくい区になります。
それを裏付ける転出者の比率は4位と高くなっています。
転入者の対人口比は11位。
入ってくるよりも出て行く人の数が多い区となっています。
そして商業施設の充実度をみれば、小売店舗数21位、大型店数21位、コンビニ数21位、ドラッグストア数20位、ファーストフード店数は23位です。
お洒落な店は多くても、日常生活に必要なスーパーなどは不足しています。
独身で高収入なら目黒区で持ち家を買うことは出来ても、そうでない人は家賃が安く、安売りのスーパーが多い他の区へ出て行ってしまうのです。
これは子育て世帯にとっても同様です。
広い家でゆったりと子育てをしながら、近所の公園で遊び、食料や日用品などの必需品が安く買える生活は難しいということです。
目黒区再生のカギとなる目黒区の強みとは
今後、全国的に見ても人口が減少する中で、目黒区はどうすれば人を呼び戻せるのでしょうか。
現在目黒区は、2000年以降に実施した庁舎移転のツケに苦しんでいます。
また大学移転跡地の再開発事業への出費も大きく、区の財政が赤字に転落する危機にも瀕しています。
財政改革に取り組んだものの2013年度の区民一人当たりの借金の額は23区中最高の数字となっています。
そんな中で目黒区の強みは、地震に伴う被害が少ないと予測されていることや交通事故、火事、犯罪の発生率が低い、比較的「安全な区」だということです。
地震発生時の被害シミュレーションでは、目黒区の火災焼失面積割合は4位と少なくなっています。
そして死傷者の数も23位。
大災害が起こっても最悪の事態にはなりません。
加えて交通事故発生率は22位、火災発生率21位、犯罪の認知件数は22位です。
これらの数値は区民による地域防犯活動の成果の賜物です。
都内への移動アクセスの良さとイメージの良さ、安心・安全な生活環境、これらの強みを上手く活かすことが出来れば目黒区に再び人が戻ってくるに違いありません。
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